追悼

2021年4月から2023年3月にかけてご逝去された校友会関係者の皆様の訃報に触れ、たくさんの方々から寄せられた思い出やお別れのメッセージをご紹介します。寄稿を希望される方は、校友会事務局までお問い合わせください。


追悼文に寄せて

2021年夏から2022年秋にかけて、校友会に深く関係された5名の方がご逝去されました。
改めて、ここに追悼の意を表します。

日本の美術界並びに多摩美術大学に多大なご功績を残しながら、惜しまれてご逝去されました方々に、この度、関係の皆さまから数々の温かい追悼のお言葉をいただきました。
心より感謝申し上げますとともに、校友会を代表いたしまして深く御礼申し上げます。

高橋 士郎 先生は、多摩美術大学の立体デザイン専攻(プロダクトデザイン)及び大学院をご卒業後、長きにわたり多摩美術大学で教鞭を取られ、2003年から2007年、本学の第7代学長を務められました。多摩美術大学を現在の姿にまで発展させた牽引者として多摩美の歴史の中に残る方と受け止めています。ご自身でまとめられてHP公開されている多摩美の歴史に関する資料は、今でも私たちが過去を知る手掛かりとして貴重な資料となっています。また、校友会の創設にも深く関わり、理事として活動を支えてくださいました。先生が制作されたふわふわと宙に浮くバボットの揺れにも似て、飄々としながら自然に周囲の方々に強い影響を与えられた方と記憶しております。

秋山 孝 先生は、多摩美術大学のグラフィックデザイン科、東京芸術大学大学院をご卒業後、本学で約30年間に渡って教鞭をとられてきました。ポスター制作やイラスト界で世界に名だたる作家としてご活躍され、その作風は、太く明確な線と大胆な色彩構成で、世界が抱える深刻な課題であっても、分かりやすい絵柄とユーモラスな表現で、観る人を魅了してきました。多摩美のグラフィックの伝統を体現し、そして、それを未来につないだ功労者として、そのご功績はいつまでも残り続けることでしょう。

東海林 隆 名誉理事は、多摩美術大学図案科をご卒業後、デザイン会社のご経験を経て、博報堂にデザイナーとして入社。その後、代表取締役社長及び会長として数々の事業を推進され、社会にデザインの存在感を根付かせ普及してこられました。その一方で、2001年から2004年にかけて、多摩美術大学校友会の第2代会長として、草創期から定着期に移行せんとする校友会を、篤い思いと強いリーダーシップによって実のある会につくり上げるべく力を尽くされました。現在の校友会の組織は、当時の東海林氏のご尽力なしには存在し得なかったのではないかと思います。まさに校友会の「井戸を掘った方」として、筆頭に挙げるべき方と言えるでしょう。改めて、ご冥福をお祈りし感謝の気持ちをささげたいと思います。

米山 貴久 先生は、多摩美術大学のプロダクトデザインをご卒業後、東芝にご就職されました。そこでの経験をぜひ、多摩美が新たに創設する「統合デザイン学科」に活かしたいとの期待から、再び多摩美に戻って教鞭をとられていました。まさに学科立上げの立役者であり、これからが期待されていたところでの急逝に、誰もが失意の念を禁じ得なかったと思います。常に笑顔で人と接せられ、熱意をもって未来のデザインを語っていらした米山先生のお姿はそのまま目に焼き付いて離れません。この度、現役の学生をはじめ多くの方から寄せられた追悼の文からも、そのお人柄とご功績が感じ取れます。米山先生は2015年から学内の校友会理事として、校友会の活動を支えてくださいました。「出前アート大学」で行なった統合デザイン学科卒業制作展への小学生の見学会、「ガーデン同窓会」の学内紹介のビデオ制作、「オリジナルプロタクツ」など、多方面で努力を惜しまずご協力をいただきました。2022年1月のオンラインによる理事会でのご挨拶が、米山先生との最後となってしまいました。直接、感謝の気持ちが伝えられなかったことが残念でなりません。

三宅 一生 氏は、改めてここにご紹介するまでもなく、世界で活躍する服飾デザイナーとして日本のデザインの発信にご貢献された方です。多摩美術大学図案科に入学され、まだデザインとしての認知度の低かった服飾デザインに在学当時から関心をもたれたことから、卒業後、パリに渡って修行を積まれた後にニューヨークへ。その後、帰国してからは「一枚の布」からつくるという独自の発想を基にデザインを展開するほか、常に柔軟な発想で服装の概念を広げるデザインを発信し続け、世界中から注目を浴びる作家として活躍されてきました。ここで多岐に渡るご功績を紹介することはできませんが、デザインの価値を世界に発信し続けた方、そして多摩美が誇るデザイナーとして、そのご逝去を悼み、ご冥福をお祈りしたいと思います。

以上、5名の方々について、簡単にご紹介をさせていただきました。

改めて、お一人お一人のご功績の大きさを実感するとともに、他では埋めることのできない喪失感を感じざるを得ません。ただし同時に、それぞれの方が私たちに残してくださった貴重なものを確かな手応えとして感じたことも事実です。残された私たちにできるのは、それをバトンとして受け取りながら、さらに、次につなげる努力をしていくことではなかと思います。それが、ご逝去された方々への何よりの追悼となるのではないでしょうか。
ご紹介はできませんが、多摩美を卒業され各方面でご活躍されて、ご逝去された方は他にも多くいらっしゃることでしょう。そうした皆さまにも、この場をお借りして哀悼の意を表したく思います。
慎んで、亡くなられた皆さまのご冥福を心からお祈り申し上げます。

 

多摩美術大学校友会 会長 中村 一哉


ご逝去された校友会関係者の皆様へ寄せられたメッセージ

高橋 士郎 名誉教授 (1970年 修士課程修了) 2021年年7月18日

秋山 孝 教授 (1979年 美術学部卒業)  2022年1月18日

東海林隆 名誉理事(1957年美術学部卒業)  2022年2月9日

米山 貴久 教授 (1988年 美術学部卒業) 2022年4月8日

三宅 一生 氏 (1963年美術学部卒業)  2022年8月5日