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芸術活動助成2024|助成対象が決定しました!

2024年3月29日
#校友会 #助成金

選考委員会において、厳正な審査を行い、以下の37件を助成対象として採択しました。※審査の内容はお答えできませんのでご了承ください。 芸術活動助成とは、意欲的に芸術活動に取り組む正会員・準会員を応援するプログラムです。団体・個人の企画や活動に対し、助成金の給付を行っています。詳細はこちら 個人企画 企画者名スターク栄美企画名称沈黙と春展企画分類展覧会・トークショー実施期間2024/3/24〜2024/4/13実施場所Detour/デューター(東京都) 企画者名飯田秀夫企画名称HIDEO IIDA Solo Exhibition 飯田秀夫個展企画分類展覧会実施期間2024/3/29~2024/4/14実施場所Gallery Mcube Mitra rord,Chakupat Lalitpur-10,NepalギャラリーMcube(ネパール カトマンズ) 企画者名圡方悠輝企画名称お茶の⽔⼥⼦⼤学こども園ワークショップ企画分類ワークショップ実施期間2024/4/1〜2025/3/31実施場所お茶の⽔⼥⼦⼤学こども園(東京都) 企画者名陳柏欣企画名称南国のこと企画分類展覧会実施期間2024/4/15〜2024/4/20実施場所羅針盤ギャラリー(東京都) 企画者名村上さくら企画名称展示と演劇の融合企画分類展覧会、パフォーマンス実施期間2024/5/1〜2024/5/5実施場所そっとすたじお(東京都) 企画者名金井路子企画名称金井路子展企画分類展覧会実施期間2024/7/11〜2024/7/16実施場所ヒルトピア アートスクエアー(東京都) 企画者名江上夏希企画名称江上夏希 個展企画分類展覧会実施期間2024/7/13〜2024/7/20実施場所PARK8 Gallery(東京都) 企画者名ヨウタク企画名称黒⼭⽺計画企画分類展覧会、映像上映実施期間2024/7/3〜2024/7/10実施場所多摩美術大学八王子キャンパス彫刻ギャラリー(東京都) 企画者名飯島伶圭企画名称いいじまれいか 個展(仮)企画分類展覧会実施期間2024/7/8〜2024/7/13実施場所GALLERY b.TOKYO(東京都) 企画者名吉田有希企画名称ありー個展(仮)企画分類展覧会実施期間2024/8/5~2024/9/14実施場所薬局ガレリア(東京都) 企画者名松宮うらら企画名称松宮うらら個展「ボニン」企画分類展覧会実施期間2024/10/23〜2024/10/27実施場所GALLERY IRO (東京都) 団体企画 企画者名HIHAHEHO Studio企画名称アートゲーム『Bottled Beer Go Around』企画分類イベント(ゲーム)実施期間2024/4/1〜2024/6/1実施場所ゲーム公開サイト「itch.io」にてリリース予定 企画者名सैनिका: / sainikāḥ企画名称「素敵なステーキ」制作委員会企画分類映像上映実施期間2024/4/1〜2024/7/25実施場所新文芸坐(東京都)、TANPENTON(東京都) 企画者名BOWWOW・企画名称BowWow展企画分類展覧会実施期間2024/4/17〜2024/4/21実施場所ギャラリー33(東京都) 企画者名404チャイナ展企画名称404チャイナ展企画分類展覧会実施期間2024/4/30〜2024/5/6実施場所元映画館(東京都) 企画者名yanagida AG Lab企画名称yanagida AG Lab - アルミ版研磨とリトグラフ - 展企画分類展覧会実施期間2024/5/20〜2024/5/25実施場所ギャルリー東京ユマニテ bis(東京都) 企画者名ボロボロな惑星にいる小人たち企画名称2人展「蒼白いまなざし」企画分類展覧会実施期間2024/5/21〜2024/5/26実施場所弘重ギャラリー(東京都) 企画者名劇団 逃飛行企画名称劇団 逃飛行 旗揚げ公演『舞台の上の者たちへ』企画分類公演、パフォーマンス実施期間2024/5/25〜2024/5/26実施場所cafe&bar 木星劇場(東京都) 企画者名studioJACA企画名称studioJACA新作アニメ制作企画分類映像上映、パフォーマンス、出版実施期間2024/5/末日〜2024/6/末日実施場所都内 企画者名アジア国際友好展2024企画名称アジア国際友好展2024企画分類展覧会実施期間2024/7/7〜2024/7/13実施場所美術会館青羅ギャラリー(東京都) 企画者名転転飯店企画名称転転飯店 第3回持続可能なコント公演『カルク・フィクション』企画分類公演実施期間2024/07/13~2024/07/14実施場所池袋 スタジオ空洞(東京都) 企画者名金久琴美 田川陽菜 二人展企画名称金久琴美 田川陽菜 二人展企画分類展覧会実施期間2024/7/23〜2024/7/28実施場所ギャラリーいちょうの木(東京都) 企画者名PRESS企画名称PRESS企画分類展覧会、ワークショップ実施期間2024/07/28~2024/08/04実施場所小杉画廊(神奈川県) 企画者名カナコとルルル企画名称狂気とは何か企画分類展覧会実施期間2024/8/1~2024/8/7実施場所白泉画廊(神奈川県) 企画者名劇団ネモノ会企画名称劇団ネモノ会第4回公演『ネモノニモノver.2〜(副題未定)〜』(仮)企画分類公演、パフォーマンス実施期間2024/8/8〜2024/8/12実施場所ステージカフェ下北沢亭(東京都) 企画者名青藍紺蒼碧企画名称「青藍紺蒼碧」展企画分類展覧会実施期間2024/9/13〜2024/9/16実施場所ギャラリー小宇宙(東京都) 企画者名妖精大図鑑企画名称妖精大図鑑『魔女の一撃(仮)』企画分類公演実施期間2024/9/22〜2024/9/23実施場所神楽坂セッションハウス(東京都) 企画者名projecttiyo企画名称『夜の王様』(仮)企画分類公演、パフォーマンス実施期間2024/10/18〜2024/10/22実施場所そっとすたじお(東京都) 企画者名出版幽霊部員企画名称出版幽霊部員 展覧会(仮)企画分類展覧会実施期間2024/11/30〜2024/12/15実施場所々 noma(東京都) 企画者名多摩さつき会展(多摩教育の会役員会有志)企画名称第6回 多摩さつき会展企画分類展覧会実施期間2024/4/30〜2024/5/5実施場所ギャラリーコンセプト21(東京都) 企画者名千葉多摩美会企画名称第27回千葉多摩美会展企画分類展覧会実施期間2024/6/12〜2024/6/16実施場所千葉県立美術館(千葉県) 企画者名新潟摩美会企画名称第16回新潟多摩美展企画分類展覧会実施期間2024/6/15〜2024/6/23実施場所新潟市美術館市民ギャラリー(新潟県) 企画者名広島多摩美会企画名称2024広島多摩美会展企画分類展覧会実施期間2024/6/18〜2024/6/23実施場所ギャラリーG(広島県) 企画者名ニューヨーククラブ企画名称Home Away From Home XX 企画分類展覧会、講評会実施期間2024/9/19〜2024/10/2実施場所Tenri Gallery(ニューヨーク) 企画者名AsianShip企画名称AsianShip vol.2企画分類展覧会実施期間2024/11/3〜2024/11/13実施場所Hideharu Fukasaku Museum(神奈川県) 企画者名多摩美愛知の会企画名称第18回多摩美愛知の会展企画分類展覧会実施期間2024/11/5〜2024/11/10実施場所ギャラリーブランカ(愛知県) 企画者名多摩美TD卒業生の会企画名称多摩美パフォーマンス研究会45周年記念出版企画分類出版実施期間2024/12〜2025/2

【特集記事】第3回 卒業生の職場訪問 阿部智史さん×吉田圭さん(電通デジタル)vol.1

2024年3月15日

「世の中をちょっと良くする」を模索する、 ふたりが考えるクリエイティビティ。 多摩美OBが活躍する「電通デジタル」を訪問! 総合デジタルファーム・電通デジタルに在籍し、コンサルティングや新規サービス提案に奔走する多摩美OB阿部智史さん(右)と吉田圭さん(左)。「社会をよりよくしたい」と口を揃えるふたりの対談を全4回で配信。在学時のエピソードから卒業後の進路、そして現在の仕事まで、それぞれの視点から美大生が獲得でき得るキャリアの広がりについて聞かせてくれた。 阿部智史(Satoshi Abe) 多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報アートコースを卒業し、レコードショップに勤めたのち、デジタルの世界へ。電通デジタル入社後は、顧客基点によるマーケティングDXの推進業務に従事し、マーケティング戦略策定、組織変革支援などのコンサルティングから、システム導入、アプリ開発といった基盤・施策領域の実行まで、デジタルを活用したビジネス変革を幅広く支援。カスタマーサクセスをテーマに、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化するためのソリューション開発に尽力する。 吉田圭(Kei Yoshida) 多摩美術大学美術学部2部デザイン学科ビジュアルコミュニケーションデザインコース卒業。在学中よりプロダクションでWEBサイトのデザイン・設計・開発業務に従事。2014年より電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)に合流し、サイト構築、プロモーション設計、コミュニケーション設計、顧客体験設計など、幅広い業界でプロジェクトの戦略立案、設計などに携わる。事業開発プロジェクトを得意とし、現在は家電ブランドの2030顧客接点の未来を構想するプロジェクトを推進中。 https://youtu.be/L__GCSLXYvg?si=uMim-5zTn2WMfeom 紆余曲折。 吉田:阿部さん、よろしくお願いします。この企画、美大卒で“美大卒”っぽくないお仕事をしている人に、話を聞かせていただいているというシリーズになります。 阿部:はい、なるほど。確かに、僕らの仕事は“美大卒”っぽくないと思われるかもしれませんね。 吉田:ということで、まずは僕から改めて自己紹介をしますね。多摩美術大学美術学部二部デザイン学科ビジュアルコミュニケーションデザインコース、通称「ビジュアル」卒業。いわゆるグラフィックというよりも、情報デザインの要素を含んだデザインを学ぶコースを卒業しました。 阿部:僕は多摩美術大学美術学部 情報デザイン学科情報アートコース卒になります。確か、僕が入学する数年前に創設された新設の科でした。油絵やグラフィックのように、どういう技術を使い、どう表現していくのか、などを突き詰めるというより、既存のファインアートに収まらないないところをやっていた気がします。僕の先輩は、なぜかはわからないけれど、畑を耕していました(笑)。「何を学ぶのかを考える」というような実験的な場所だったと思います。 吉田:僕が在籍したコースで特に有名な教授は「非常口」のサインをデザインした方。上野毛キャンパスのアイコンみたいな方でした。 阿部:へえ。 阿部智史さん 吉田:非常口のサインって昔は緑の細長に真ん中に人のマークがあって、左右に矢印などが配置されていたと思うんですけど、その教授は当初から現在のカタチ(矢印のみ)にするのが理想だとゴールを掲げていたんですって。 阿部:美観を損なわないように、ということを考えていらっしゃった。 吉田:緑の矢印の先に非常口。それを国際基準にということを最初から考えていたらしいです。 阿部:いま、ふと渋谷駅を思いました。新しい建物ばかりで綺麗なんですけれど、恐らく駅の職員さんが作ったであろう「こっち」っていう矢印があちこちに貼ってあるんです。仕方なくやられていると思うのですが、体験がいきなり断絶してしまうような感覚が僕にはずっとありました。おそらく「非常口」のサインのように、環境として機能として考えてデザインされているものだとそれが起こらないですね。 吉田:高速道路にあるカーブの植栽デザインなどもされていたそうです。方向性がわかるような花とか植物の植え方をして、カーブと認識させる。 吉田圭さん 吉田:僕らが学生のころに憧れるデザインって、ポスターなどの派手なモノでしたけれど、その先生は意識させないけれど必然的に機能する情報を含んだデザインをされていらっしゃいました。今になると、スゲーってことがよりよく分かります。 阿部:こんなことを言ってはアレですが、僕、学生時代って実はあまり勉強していなくて…。 吉田:僕も同じく。学生の頃はとくに「グラフィックデザイナー」になりたい願望が強くて。学校に行かずにプロダクションでグラフィックデザイナーのアシスタントデザインをしていました。もう、会社員のように朝9時から夕方5時まで。 阿部:ちゃんと勉強しておけば良かったって思いますよね。 吉田:ほんと勉強した方がいい。勿体無い。 OB訪問に参加された多摩美術大学在学生のお二人 阿部:僕は音楽に夢中になっていました。1、2年生の頃はまだ真面目に学校にも通っていたのですが、3年生くらいの時に「アートとかしゃらくせえ!これじゃ何も変わらないだろ!」みたいなモードになって(笑)。 吉田:就活、しましたか? 阿部:あまりせず、です。通っていた渋谷のレコード屋さんで卒業後そのまま働き始めました。完全にその日暮らし。楽しければいいや、くらいの感じでしたね。吉田さんは? 吉田:僕もそのままって思っていたんですけれど、師匠がそうさせてくれなくて。それに、その頃から薄々グラフィックデザインの道は自分には難しいとも感じちゃっていたんです。 阿部:それはなぜです? 吉田:師匠、その頃30代前半だったと思うんですけれど、めちゃめちゃ感度が高くて。毎日のように本屋に行くし、ネット黎明期にもかかわらずコンテンツにも詳しくて。そこまでの方でも、その人は名だたるグラフィックデザイナーだったわけでもない。「ここまでやってもか」って思っちゃったんです。それで、テレビが好きだったり企画することが好きだったりしてテレビ局を受けました。でも、落ちました。なので、しばらくはフリーランスのような感じでした。 阿部:僕が働いていたレコード屋は商社のような側面もありましたので、カッコよくいうと輸入業でもありました。とはいえ僕は配送や店番も何でもやりました。 吉田:小売業を経て、互いに今はデジタルの世界。色々ありますね。 阿部:僕らの学生の頃ってインターネット黎明期。確か、IE5とかでしたよね。それでも当時から僕はインターネットにめちゃくちゃ魅力を感じていました。今までできなかったことができるようになったり、知らなかったことを知れるようになったり。もともとデジタルとかネットとかは大好きでした。 吉田:けれど、音楽の魅力がその魅力に優っていた。 阿部:というより、手に職もないし、音楽が近くにある生活を楽しく送ることができればいい、くらいに考えていたんです。今につながる部分でいうと、レコード屋で最後に任されていたのは、通販サイトでした。WEBの企画を考えたり、アクセス解析したりというのは、そこで初めて触れました。数字から読み取れる何かをバイヤーの人にアドバイスするっていうのは面白かったですね。 吉田:EC担当のようなことをされていたんですね。 阿部:で、転機が唐突に訪れるんですけれど、当時だんだんと音楽がレコードからデジタルに移行していくタイミングで。それでレコードが売れなくなり、勤めていたレコード屋が倒産。いつも通り会社に行ったら営業部長が立っていて「すまん、今日で解散です!」みたいな。その光景は今でも覚えています。 吉田:ははは、なかなかインパクトがありますね。 vol.2 〜「デジタルの世界へ。」はこちら

【特集記事】第2回 卒業生の職場訪問 新城宏明さん(BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN)vol.1

2023年7月13日

「建築士として空間のポテンシャルを見出し、より高める」 多摩美OB主宰の「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を訪問! 神奈川県三浦市にあるシェアスペース「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を運営する一級建築士・新城宏明。新城自身が設計デザインした「BAYSIDE SHARE」は、三浦半島のクリエイターやフリーランサーが行き交う“オモシロい人々のるつぼ”となりつつある。今回、取材陣は2021年4月にオープンした「BAYSIDE SHARE」を訪問した。 新城 宏明(Hiroaki Arashiro) 一級建築士、建築デザイナー。ボリビア生まれ、横浜育ち。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科スペースコミュニケーションコース卒業。建築の専門学校を卒業し、造作大工として活動した後、3年次編入で多摩美に入学。空間デザインを専攻し、デザインに対する美意識を高める。現在は神奈川県三浦海岸でシェアスペース「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を主宰。自然豊かな環境を拠点とし、クリエイティブの力で街の活性化を企む。 https://youtu.be/InW_dJd8aDI 海沿いのシェアスペース 「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」は2021年4月に誕生した海を望むカフェ&コワーキングスペース。運営するのは、多摩美OBの一級建築士・新城宏明だ。 建築の専門学校を卒業して造作大工として経験を重ねていくうち、「もっと美意識を高めたい」と多摩美のデザイン学科(空間系)に編入した新城。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科スペースコミュニケーションコースを卒業後、数年の設計事務所勤務を経て設計士として独立した。 「独立した当時、僕自身がコワーキングスペースでよく作業をしていました。主に都心のコワーキングを利用していましたが、『海沿いなどのロケーションの良いところでテレワークできたらいいな』と漠然と思っていました。 けれど、そういう場所を探してみるとなかなかないんです。コロナ禍にテレワークが世の中に浸透すると、『自然豊かな環境に移住する方も増えるだろう』ということを予測し、作った場所がコワーキングスペースやカフェ、自分の設計事務所などが入る複合施設『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』です。海沿いに作ろうと、海沿いの物件探しから始めました」 デザイナーやクリエイターが自由に集まることができたり、一緒にもの作りをしたりできるクリエイティブコミュニティースペースを作るというのは、新城の多摩美学生時代からの夢だったという。 建築士として、空間のポテンシャルを見出す 物件探しはGOOGLE MAPのストリートビューで。 「名古屋の方から神奈川の海沿いまで、すごく広い範囲で検索しました。ずっと、海を見ずに反対側の建物ばかりを見ていると、正面に海を臨む物件に賃貸看板が掲げられているのが目に留まり、すぐに問い合わせました。内見をして、ほぼ即決でした」 『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』は、もともと漁業組合の事務所兼倉庫として利用されていた鉄筋コンクリート造の建物をリノベーションした空間。新城自身が設計デザインを担当している。 「もともとは海側の窓がすりガラスだったので、そこが抜けたら海を一望できるな、とフィックスガラスにすることを最初に考えました。働きながら、海を眺められるという環境をどうしても作りたかったんです。窓を交換させてほしいこと、新たにウッドデッキを作らせてほしいことなどを交渉し、カフェやワークスペースのレイアウトを決めていきました。これほどの広さがあって、海を目の前に臨む絶好のロケーション。ここを見つけた時は、建築士としてこの場の価値を見出した気がしました。 そこからは空間のポテンシャルを上手に活かすのがキモです。建物をすべてスケルトンにして空間を再構築。内装は予算をかけずにラフな仕上げとし、あらわにした躯体を活かすようなデザインにしました。カフェスペースは白い壁、コワーキングスペースはグレーを採用し、光の反射が作業を邪魔しないように考えています」 コワーキングスペースには海を望める席があるほか、仕事の合間にくつろげる小上がりの和室空間や、オンライン会議のほか、メイクアップスペースとしての利用実績もあるという個室が備わる。 「僕は大工経験もある人間なので、図面を引くだけでなく自分の手を動かしてものを作るのも好き。設計をする上でも、手作りできる要素を必ず取り入れています。『BAYSIDE SHARE』でいえば、テーブル。このテーブルは杉の一枚板をバーナーで炙って炭化させ、樹脂コーティングを施してデザイン性をもたせました。やっぱり、自分で好きなように作るのは楽しいです」 人のつながりが、新たなクリエイティブを作る 『BAYSIDE SHARE』は新城自身が都心でシェアオフィスを利用していた経験を基盤とした、リアルなライフスタイルイメージが空間を構成。仕事、軽食とコーヒー、そして仕事終わりのアルコール。オープンして2年、常連同士の協働も生まれはじめている。 「オフィスとカフェ、夜はバー。個人的には理想的な環境を創り上げることができたと思っています。オニバスコーヒーの豆で入れた美味しいカフェラテを飲みながら仕事をして、疲れたら浜辺を散歩して、夕焼けの頃にはデッキでビールを飲みながら、良い気分で一日の仕事を終える。その後はバー営業に切り替わったカフェスペースでコミュニティーの輪を広げる…。都心でのスタイルにあるような、ワークライフスタイルを『BAYSIDE SHARE』でも可能にしています。ようやく地元の人の利用も増え、『BAYSIDE SHARE』は目立つ存在になってきてきたかな。 人が集まる場の面白さというのは、僕が多摩美の学生時代から感じていたことです。いろんな人が関わってくれることで、学園祭みたいに楽しみながらものづくりができると思うんですよね。いろんな個性を持った人たちが集まって、みんな自分にできる分野で力を発揮する。そういうのは将来的に街の活性化につながると考えています。 三浦海岸はこれからどんどん面白くなっていくと思う。今年の夏は3年ぶりに花火大会も開催される予定ですし、海の家も新しくなります。僕にとってもチャンスですよね。街が動き出そうとしている時だから、僕も積極的に関与していきたい。シェアオフィサーとして場所や機会を作ることはもちろん、建築士としてもできることはたくさんあると思います。」 「エリアリノベーション」という言葉を掲げ、場づくり、きっかけづくり、そしてあらゆる出会いによるクリエイティブな化学変化を探る新城。美大卒、そして設計士・建築士でありながら、シェアオフィサー。いくつもの肩書きをホッピングして自身の役割を広げる彼のような人物こそ街を目覚めさせる起爆剤となるのだろう。 『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』。ひとつの建物の存在が、街の様子を大きく変えるかもしれない。 vol.2 〜「美大生時代のような、「楽しい」の感覚を追求する今。三浦海岸にシェアスペースを拓いた、建築士・新城宏明の胸の内。<前編>」〜

【特集記事】第1回 卒業生の職場訪問 山口範友樹さん(KLAMP STUDIO)

2022年12月16日

世界的フィギュア原型師・山口範友樹氏のスタジオを訪問! 『ONE PIECE』や『進撃の巨人』、『ドラゴンボール』といった超人気作品から数々の名作フィギュアを生み出してきた原型師・山口範友樹氏。造形美を評価する造形フィギュアの世界大会での優勝や、アーティストとのコラボ作品の発表など、名実ともにトップ原型師として注目を集めている。今回「フィギュアが大好きで、卒業後はフィギュア関係の仕事を志望している」という多摩美の学生が、制作現場(KLAMP STUDIO)を訪問。山口氏が原型師を目指したきっかけや、原型師の仕事内容の解説やこだわりなど、フィギュア制作のお話をたっぷり聞かせてくれた。 山口範友樹(Yamaguchi Noriyuki)原型師。1978年、東京都生まれ。多摩美術大学美術学部二部デザイン学科ヴィジュアルコミュニケーションデザインコース卒業。在学中に原型師・澤田圭介氏に出会い、弟子入り。造型・原型制作、造型に対する考えを学び、現在は玩具メーカー内の造型室「KLAMP STUDIO(クランプスタジオ)」を主宰。フィギュアの造形バトル「造形王頂上決戦」連覇の実績を持つほか、海外のアート展にも作品を出展。国内外問わず活躍の場を広げている。 https://www.youtube.com/embed/o5zsXMg2lC4 「原型師という仕事について」 「僕らの仕事は、マンガやアニメなどの二次元を立体化するというもの。フィギュアのデザインから彩色まで、原型制作をひとしきり行います。それに付随するパッケージの企画を行うこともあります。」 視覚デザイン学科の学生だった山口氏は、フィギュア制作に携わり始めた頃、造形に関する知識はほぼゼロ。原型師になるために、「すべての優先事項は原型師になること」としていたという。 「自分の場合、もともとフィギュアが大好きだったわけではないんです。たまたま大学4年生の時に素晴らしい師匠に出会い、原型師という仕事を知りました。原型師になったきっかけは、師匠の“モノで人を黙らす仕事”に感銘を受けたから。自分にとっては震えるほどの衝撃的な出会いで、原型師になると決めました。そこから一人前になるのに、10年くらいかかったかな」 フィギュア造形の世界バトル「造形王頂上決戦」にて連覇の実績を持ち、「世界で最も『ONE PIECE』フィギュアの制作に長けている」ことを自認する他、オリジナル作品をアート展へ出品することも。今や業界のトップランナーである。 「最先端テクノロジーと手技で作る」 造形室KLAMP STUDIOは、デジタル技術を積極的に取り入れている。仏像などの文化財のデータ採取にも使用するという超高精度な3Dスキャナーや、画面上で立体を作るヘラタブなど、最先端のテクノロジーをこれほど備えた造形スタジオは珍しい。 「これがヘラタブで操作するフリーフォーム、もともと医療用のシミュレーションマシンとして開発されたものです。立体の造形作業をデジタル上で処理でき、画面の3Dオブジェクトをなぞると触った感覚があるのがこのツールの面白いところです。原型を手で作る方法との一番の違いは“コマンドZ”ができること、粘土などの造形だと一度削ったり、形を変えると、そう簡単に元に戻せないですからね。迷うことなく大胆に手を動かせるこのスピード感がデジタルツールの革新的な機能です。僕はデジタル大好き。けれど基本は手を使うアナログ派です。アナログもデジタルも両方良さがある。要は使い方を工夫することが大事です」 「感性より努力。仕事だし」 スタジオの2階はアナログな作業をするスペース。デジタルで出力した立体も、仕上げは原型師がそれぞれの手技を駆使して行なっている。 「造形のやり方は彫刻のように掘ることもあれば、粘土で肉付けし形作っていくやり方もある。またメカっぽい角ばったものを作る場合はデジタルでの作業がやりやすく、布や筋肉の丸みを帯びた臨場感を出す場合は、手作業の方が適しているかもしれません。ただ、どういう手法で作業するかは原型師次第ですね。 僕のスタジオでは基本的にスタイルを作らない。スタイルを作ると仕事として困ることが多くなりますから。僕らが作っているのは『アート作品』ではなく『製品』であり、 量産が前提です。作品として1点ものを作るのであれば、とことん造形のみにこだわることができるのかもしれませんが、僕らが作っているのは何万個と流通する製品の原型。ですから、すべて同じクオリティで仕上がってくるようにすることを考えます。商品としてどれだけたくさんの人に喜んでもらえるものにできるかどうか。それが僕ら原型師の仕事の魅せどころです。」 原型師たちは皆、一枚の絵からどのように立体としての説得力を入れていくか、想像を巡らせ考える。そこに表現力の差が出るのだという。 「例えばフィギュアには、キャラクターが着ている服にシワがあります。そのシワの表現にもトレンドがあるんです。こういったトレンドを見極めるのも勉強。たくさんものを見て、インプットを重ねることで気づけるようになります。なんにせよまずは、感性より努力ですね。それが原型師」 「コミュニケーションで仕上がりが変わる」 KLAMP STUDIO 2階の複製室は、大手玩具メーカーも見学に訪れる場所なのだそう。複製は、彩色サンプル用の原型のための工程。シリコンで出来上がった原型の型を取って複製し、それに色をつけていく。 「赤は赤でも無限に色があるので、調合して表現の目的に合った赤にします。バトルシーンだから少しくすませようとか、象徴的な立ち姿だから彩度を上げようとか、シーンを考えながら色を仕上げます。色をつけたら原型が完成です。平面から立体に起こし、最後に色をつけるところまで、全部このスタジオで完結させることができます。 僕は知らないキャラクターのフィギュア制作を依頼されたら、そのマンガを読むことはもちろん、好きな人たちがどういう思いで作品を楽しんでいるかを友人や知人にヒアリングします。なぜなら、それを知ることでフィギュアの表情もポーズも彩色も変わってくるから。そのためにはやはりコミュニケーションが大事です。」 「100人いれば、100人がほしいと思うフィギュアを作る」 「例えば『ONE PIECE』のルフィなら、100人のうち100人がほしいと思うルフィを僕は作る。そのためには世間では何が流行っているかとか、みんなはどういうことを思っているかを知ろうとする行動が不可欠。『俺のルフィを作ってやるぞ』とは微塵も思っていないし、そもそもそれでは仕事にならない。少なくとも僕ら原型師の仕事とは違う。“作家”として生きていくのではなく、“仕事”としてモノづくりに携わる以上、コミュニケーション能力はめちゃくちゃ重要だと思います」 スタジオ見学も終盤。玩具メーカーやフィギュア制作に興味のある学生たちから「学生時代に身につけておくといいことは何か」と質問が投げかけられた。 「技術や知識的なアドバンテージがあることよりも、人に何かを伝えようと努力する姿勢だと思う。つまり、見る人のことを考えられるかどうか。格好よく見せるための努力と、見る人がどう思うかを考え続けること。それが良いフィギュアの原型を作るためにも、一般的な就活の上でも、共通して重要なことだと思います。加えて、ちゃんと自分がやりたいことをアピールできることも大切。やりたいことにどれだけ優先順位をおいて、どういうつもりで向き合っているのか。僕はそれが感じられるポートフォリオがあれば、お! と手が止まりますよ」 最後に、これまでの中でもっとも技術と時間を要した仕事を語る。 「このフィギュアは友人でもあるアーティスト花井祐介くんと制作したもの。花井くんの絵を僕が立体にしました。例えば『ONE PIECE』のエースって服とか髪型とか、複雑でフィギュア制作も大変そうに見えると思うんだよね。けど、情報が多くあるものを情報通りに作るのは、技術さえ身につけば出来るようになる。正解があるんだから。一方でシンプルな二次元を立体にしたり、見た通りではないものを作ったり、技術に加えて想像力・感覚の部分を求められる仕事というのは、また一段と難しい。そして、楽しいです」 デジタルとアナログの両方を使いこなし、「欲しい!」と思わせるフィギュアの原型を次々とスピーディーに仕上げていく『KLAMP STUDIO』の山口氏。「アート作品ではなく製品づくりをしている」と言い切る彼と、最新鋭のツールを揃えたスタジオの様子から、「世の中の声に即したものづくりを徹底して追求し続ける」という、プロフェッショナルの心意気を窺うことができた。 一方で制作現場の雰囲気は柔らかく、“職人=固い気質”というイメージからはかけ離れている。「技術よりコミュニケーション」と学生らに語る山口氏の思想は、彼が指揮を執る『KLAMP STUDIO』内部にも浸透しているのだろう。 ビジネスの視点を持ち合わせながら、それだけではない。ものづくりを楽しむスタンスには学びが多くあった。原型師が違えばまったく違う表現になると改めて認識した今、フィギュアの見方・楽しみ方も変わりそうだ。 Netflix『Stranger Things』シーズン4公開記念フィギュア“COFFEE AND CONTEMPLATION”の制作秘話についての対談記事はこちらから。 https://www.youtube.com/embed/3Oy26tX7ASU

【公募】「芦屋国際芸術映画祭 コンペティション」募集(AIAFF)

2024年4月10日
#公募

2024年9月22日(日)~23日(月)に開催される芦屋国際芸術映画祭で開催されるコンペティションの作品を募集します。コンペティション当日にはノミネート作品の上映及び審査員による選考が行われ各賞が授与されます。 応募資格・自主制作の映画。・テーマ、ジャンルは問いません。(実写、CG、アニメーションetc...オールジャンルOK)・制作者の居住地、年齢、経験は問いません。・作品はコロナ禍以降(2021年1月1日以降)に完成したものとします。・外国語作品の場合は日本語字幕を付けるか日本語吹替をお願いいたします。・監督はコンペティション当日のプログラム(懇親会を含む)および授賞式に出席できることとします。・応募時点より本映画祭までに上映予定がある場合にはその旨を報告することとします。・配信サイトやYouTube等で作品全編を一般公開している作品も応募は可能ですが、本映画祭に入選した場合には映画祭の期間中やその前後は、オンライン視聴ができないようにすることとします。募集期間2024年2月19日(月)~5月15日(水)必着応募方法出品料をお振り込みのうえ、ウェブフォームよりエントリーください。募集要項URLAIAFFホームページ部門・コンペティション部門:以下の応募資格を満たす30分以内の映像作品・だれもがカメラを持つ時代だ部門(だれカメ部門):以下の応募資格を満たす5分以内の映像作品出品料※1作品につきコンペティション部門:2,000円だれもがカメラを持つ時代だ部門(だれカメ部門):1,000円選考方法応募作品の中から、実行委員会がノミネートにふさわしい作品を選出します。ノミネート作品決定後、応募者に通知し、公式ホームページ、SNS上で正式に発表します。発表ノミネート作品について7月中旬にホームページ上で発表します。また選考結果は事前に応募者にメールで連絡します。受賞作品について9月23日(月)の表彰式で発表します。賞・作品の上映グランプリ応募作品の中から審査員が選んだ最も優秀な作品に与えます。賞金20万円(コンペティション部門のみ)と副賞ほか記念品を進呈します。複数作品が選ばれた場合には賞金は分配となります。各賞グランプリのほかに以下の賞を授与し副賞ほか記念品を進呈します。・観客賞・主演俳優賞・助演俳優賞・脚本賞・ベストチームワーク賞他作品の使用映画祭では上映作品の一部、作品画像等をプロモーションの目的で使用します。新聞・テレビ・ウェブサイト・宣伝物等の媒体・作品集・展示会・施設などにおいて、応募者の許諾を要することなく無償で利用できるものとします。ノミネート作品およびその他の応募作品の出品者に対して、映画祭での上映目的以外に映画館等での上映やオンラインでの配信機会を提供する目的で別途連絡する場合があります。あらかじめご了承ください。権利処理音楽著作権、映像著作権等の権利処理を済ませた上での応募をお願いします。未処理などで生じた一切の紛争につき、本映画祭及び実行委員会は責任を負いかねますことご了承ください。個人情報の取り扱いについて当映画祭は、取得する個人情報の取り扱いについて、適切に取得・利用・保管いたします。ご記入いただく個人情報は、応募者へのご連絡のために利用し、それ以外の目的で利用いたしません。

【公募】「第2回デザイン賞」募集(モビリエ・ナショナル、在日フランス大使館)

2024年4月10日
#公募

在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセは、モビリエ・ナショナル―フランス国営動産管理局と協働し、日本のデザイナーのためのデザイン賞を開催します。受賞者は副賞として、フランスで約一ヶ月間、デザインのプロジェクトに向けたリサーチのためのレジデンスを行う権利を得ます。 募集要項 応募資格・日本在住であること・プロのデザイナーもしくは工芸家であること・英語またはフランス語でのコミュニケーションが可能であること・過去の作品(ポートフォリオ)を提示できること・滞在中、自立して行動できること・滞在中はプロとして、報酬の発生する活動を行わないこと※年齢制限はありません選考スケジュール応募開始:2023年12月15日応募締切:2024年5月31日(金)受賞者発表:2023年7月初め条件・レジデンス期間は2024年9月~2025年12月初めのうち1ヶ月間(時期や期間は要相談)・受賞者の渡航費及び現地宿泊場所は支給・提供されます・レジデンスはリサーチを目的とするものであり、製作費は支給されません応募方法下記の応募書類を2024年5月31日(金)24時(日本時間)必着で、アンスティチュ・フランセ芸術部門(dg.artistique@institutfrancais.jp)宛にメールでお送りくださいその際、件名を「デザイン賞応募」としてください※添付ファイルの容量が5MBを超える場合は、外部データクラウドサービスや大容量ファイル添送サービスをご利用ください応募書類以下を英語もしくはフランス語と、日本語で作成すること1. プロジェクトの説明と、その実現に向けてモビリエ・ナショナルでのレジデンス期間中に行うリサーチについて説明した企画書(プロジェクトコンセプトや目的、素材などの情報を含め最大5ページ)※滞在希望期間についても記載2. 履歴書3. 作品集/ポートフォリオ(写真、新聞記事、リンク等を添付しても可)4. ポートフォリオの作品が応募者自身のものである旨を記した宣誓書5. 推薦状(任意)審査基準審査員による選考基準には以下の要素が含まれます・プロジェクトが扱うテーマの妥当性・フォルムの独創性、美的資質・エルゴノミーへの配慮・製品の産業化についての観点・プロジェクトの革新性・持続可能な開発に対する配慮・フランスの工芸への関心、またはフランスと日本の工芸とを結びつけることのできるプロジェクト・プロジェクトと、そ()術的、文化的、知的方向性が明確であること結果発表審査結果は受賞者にのみメールで連絡し、その後弊館ウェブサイト等で受賞者の発表を行いますお問合わせアンスティチュ・フランセ芸術部門(dg.artistique@institutfrancais.jp)宛に件名「デザイン賞 質問」でメールでお送りくださいWEBホームページ募集要項

【公募】「Selected Indie 80」募集(東京ゲームショウ2024)

2024年4月10日
#公募

東京ゲームショウ2024では協賛企業のサポートの下、インディーゲーム開発者がインディーゲームコーナーに無料でリアル出展できる「Selected Indie 80」枠を設けます。下記の応募資格や応募条件等をご確認いただき、ぜひ自身のタイトルをご応募ください。 「Selected Indie 80」概要 出展形式リアル出展(千葉・幕張メッセ会場)幕張メッセ(https://www.m-messe.co.jp/)に来場できる出展者に限る。出展期間2024年9月26日(木)~2024年9月29日(日)出展料無料選考の流れ①Selected Indie 80にエントリーするにあたって、下記の「応募条件」や「出展可能な作品」に該当することをご確認いただき、「応募フォームへ」ボタンから専用フォームに遷移し、必要事項を入力してください。複数タイトルをSelected Indie 80にエントリーする場合は、タイトルごとに応募してください。②応募受付の締め切り後、エントリー作品を審査し、Selected Indie 80を決定します。選ばれた個人・法人には出展が可能であることをご連絡します。③Selected Indie 80に選ばれたタイトルは、「センス・オブ・ワンダーナイト2024(SOWN2024)」の候補作として自動エントリー。審査会にてアイデアに優れた8タイトルを選出し、その開発者には、会期2日目に予定されているSOWN2024にて自身のタイトルについてプレゼンテーションしていただきます。SOWN2024の模様は、TGS公式番組で配信し、アーカイブもいたします。SOWNの詳細についてはコチラをご覧ください。応募資格国籍、年齢、職業(学生、ゲーム制作者など)、一切不問応募条件・幕張メッセでのリアル出展(4日間)が可能な方・応募タイトルの開発元(個人・法人)の年間売上について法人:5000万円もしくは50万USドル程度以下であること個人:1000万円もしくは10万USドル程度以下であること・応募タイトルの開発元が法人の場合、資本的に完全に独立していること出展可能な作品・完全オリジナルなゲーム(二次創作コンテンツは許諾の有無にかかわらず出展できません・応募者が開発の権利を有するプラットフォーム向けに制作されたも/・CESA倫理規定、CERO倫理規定に準じたもの◉CESA「グローバル・イベント・コンプライアンス・ポリシー」https://www.cesa.or.jp/compliance.html◉CEROについてhttps://www.cero.gr.jp/publics/index/3/・かつ以下のいずれにも該当しないもの①CERO倫理規定 別表3「禁止表現」(https://www.cero.gr.jp/relays/download/3/43/2/291/?file=/files/libs/291/202010162348223320.pdf)に抵触、または抵触する恐れのある表現が含まれている②CEROの審査で「Z」区分レーティングを受けた作品、もしくは「Z」区分に相当する表現が含まれている可能性がある③海外で既に発表されており、海外審査機関(ESRBなど)で「17+」(MATURE)区分の指定を受けている④海外で発表予定で、海外審査機関(ESRBなど)で「17+」(MATURE)区分の指定を受ける可能性があり、残虐性が強く「13+」(TEEN)区分に相当するとは思えない作品 「Selected Indie 80」募集要項 エントリー締切2024年4月30日(火)JST 17:00(GMT 8:00)応募方法<1>「Selected Indie 80」選考結果の連絡:2024年5月中旬以降に、エントリー時に登録いただいたメールアドレスにご連絡いたします。電話でのお問い合わせは受け付けておりません。<2>SOWNファイナリスト選出者への通知:8月以降を予定スケジュール無料問い合わせ先東京ゲームショウ インディーゲーム事務局mail: tgs.indie80@maruttoworks.jp※メールでの対応のみWEBTGSホームページ

下總良則「インサイトブースト」出版のお知らせ

2024年4月10日
#出版

書籍名インサイトブースト著者下總良則(2005年造形表現学部卒業)発行元ハガツサブックス定価1,870円(本体1,700円+税)判型18×127×188mm/単行本ソフトカバー総頁216頁ISBN978-4910034195発売日2024年2月10日WEBインサイトブースト■概要近年注目される「デザイン経営」。デザインが企業の産業競争力を高めるとして、経済産業省が発表したデザイン経営宣言により、日本で注目を集めてきた。しかし、参考事例とされるアメリカでは、ブランディング=デザイン経営とされる一方で、日本でのブランディングは一貫したビジュアル表現にとどまってしまっていて、本当の意味での「デザイン経営」を実現している企業はそう多くはない。本書は、デザイン経営がしっかりと成果を出せるよう、デザイン経営の研究者がデザインにMBAを掛け合わせることによって生み出した、デザイン経営の新しい理論をまとめた一冊だ。ブランディングを成功させるために欠かせない「無意識のインサイト」の掘り起こし方と、そのインサイトをデザインに反映する方法を提示する。■著者プロフィール下總 良則(シモウサ ヨシノリ) 東北工業大学准教授(デザイン経営分野)/ usadesign代表 / 一般社団法人 デザイン経営研究所 代表理事 / 一般社団法人 RAC 理事多摩美術大学を卒業後、プラス株式会社にて商品企画担当者・プロダクトデザイナーとして従事。その後、株式会社ホットファッジにてグラフィックデザイナーの経験を経て、usadesign として独立。フリーランスデザイナーとして、世界シェア第 3 位の広告代理店ピュブリシス傘下 ビーコンコミュニケーションズ株式会社や、介護福祉業界のネクストユニコーンであった 株式会社ウェルモをはじめとするスタートアップ企業にジョイン。デザイナーとして活動もしながら、一般社団法人 RAC の理事として経営メンバーに参画するなど、「デザインと経営学」 をテーマに活動を広げる。グロービス経営大学院卒 MBA 取得。vand international design award 2024 (UK, FRA) 審査員。

【特集記事】第3回 卒業生の職場訪問 阿部智史さん×吉田圭さん(電通デジタル)vol.4

2024年4月4日

「世の中をちょっと良くする」を模索する、 ふたりが考えるクリエイティビティ。 多摩美OBが活躍する「電通デジタル」を訪問! 阿部智史さん(右)と吉田圭さん(左)とOB訪問に参加された多摩美術大学在学生のお二人(中央)総合デジタルファーム・電通デジタルに在籍し、コンサルティングや新規サービス提案に奔走する多摩美OB阿部智史さんと吉田圭さん。「社会をよりよくしたい」と口を揃えるふたりの対談を全4回で配信。在学時のエピソードから卒業後の進路、そして現在の仕事まで、それぞれの視点から美大生が獲得でき得るキャリアの広がりについて聞かせてくれた。 阿部智史(Satoshi Abe) 多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報アートコースを卒業し、レコードショップに勤めたのち、デジタルの世界へ。電通デジタル入社後は、顧客基点によるマーケティングDXの推進業務に従事し、マーケティング戦略策定、組織変革支援などのコンサルティングから、システム導入、アプリ開発といった基盤・施策領域の実行まで、デジタルを活用したビジネス変革を幅広く支援。カスタマーサクセスをテーマに、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化するためのソリューション開発に尽力する。 吉田圭(Kei Yoshida) 多摩美術大学美術学部2部デザイン学科ビジュアルコミュニケーションデザインコース卒業。在学中よりプロダクションでWEBサイトのデザイン・設計・開発業務に従事。2014年より電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)に合流し、サイト構築、プロモーション設計、コミュニケーション設計、顧客体験設計など、幅広い業界でプロジェクトの戦略立案、設計などに携わる。事業開発プロジェクトを得意とし、現在は家電ブランドの2030顧客接点の未来を構想するプロジェクトを推進中。 https://youtu.be/L__GCSLXYvg?si=uMim-5zTn2WMfeom 最終回「世の中」のためになりたい。 阿部:僕がクライアント企業の方とお仕事で会話をさせていただくときって、パワポやエクセルで説明することも多いんです。その資料一つとっても、それで関係者の納得をつくったりとか、今までできなかった何か新しいことが見えてきたりとか、今まで問題だったことが何か良くなりそうだと思ってもらえたりしたら、もうそれはクリエイティブなことだと思う。もっというと見積もり。この見積もりは、いい見積もりができた!とか。 吉田:ありますよね、予算でクリエイティビティを発揮すること。そこの予算の掛け方、イケてる!みたいな。これも積み上げ型ロジックじゃないところにあると思うんです。「そこにそんな予算の掛け方するなら、こっちに張ろうよ!」という発案でいいプランができれば、それってクリエイティブですよね。 阿部:目に見える表現だけじゃなく、創造的な活動すべて。何か新しい付加価値が付け加えられたらそれはもうなんでもクリエイティブな仕事なんじゃないかなって思うんです。ご飯作る飲食店の方も、街の本屋さんも、みんなクリエイティブなことをしてる。そんな風なことはいつも世の中に対して感じていたりします。 吉田:すごくわかります! 業界的にいうと、「提案書をつくる」などのビジネスと、表現の意味でのクリエイティブをつくる人を分けたがる人もいるけれど、企画書を書いていること自体クリエイティブな行為なんです! みたいな(笑) 阿部:そういえば僕、広告に疑問を持った背景に、自分のやっていることに自信を持てなくなっていた…ということがあったんです。 吉田:ほう。 阿部:ちょっとアホらしいコメントなんですけれど、「世の中をちょっとでも良くしたい」というのがずっと自分の中にある気持ちのようで。 吉田:「世の中を良くする」というのは、言うは易しな感じもしますが、具体的にはどのようなことなんでしょう。 阿部:世の中のなんだかちょっと詰まってしまっている部分とか、その詰まっていた部分が自分のやっていることで前よりもちょっと“通り”が良くなるとか。そんなことでいいと僕は思っているんです。そういう思いを根底に、企画書一枚にしてもこの企画書が本当にお客さんのためになっているのか、もっと言うと社会のためになるのか、とか。そういうことを常に考えているのだと思います。 吉田:素晴らしいですね。 阿部:お客さんには喜ばれるだろうけれど、世の中にとってあまり良くないことだと思えば提案したくないですし、「世の中をちょっとでも良くしたい」というのは自分の中に軸として常にある。これから違うことにチャレンジするかもしれないし、新しいことをやるかもしれないけれど、このあたりの気持ちだけは大切にしたいと思っています。 吉田:僕も最近「これから」のことを考えました。というのも大きな企業とお仕事をさせていただいていると、社内の事情によって企画が頓挫することも多いんです。僕らの仕事としては成立しても、全然世の中に出ないというようなことが続いて、「自分のやっていることは、世の中のためになっているのか」と悶々としたんです。 阿部:しますよね、それは。 吉田:みっちり時間をかけて考えて、一緒にプランや資料をつくって、新しい取り組みとして成立させるために必死になって。でも、心のどこかで「どうせダメになる」みたいな気持ちがあってしまって。ところがあるとき、いろんな事情を突破してくる人が現れました。その方は僕らが立てたプランすべて社長承認を取り付けてくださり、いままさに実現に向けて動いています。どんなに複雑な事情があっても突破できる人がいる、と感激しました。僕らが一生懸命考えたそのプランで、世の中が元気になってほしい、日本が良くなってほしいって真面目に願っています。 阿部:カッコいいですね、その担当の方。 吉田:キュンとしちゃいましたよ(笑)。そういえば僕、日本をもうちょっとカッコよくしたいとも思っているんです。どうしてそういうことを思ったのかというと、多分日本はまだ本当の意味での「多様」には到達できていないと思っていて。だから、僕は「日本を多様にする、カッコよくする」を自分の抱負にしようとこっそり決めました。 阿部:僕の場合、「世の中を良くする」というのは小さなことでいいと思っています。例えば、このアプリがあることで今まで30分かかっていたことが15分でできるようになりました、とか。それって、世の中の規模からしたら、たいしたことじゃないかもしれない。たかだか15分かもしれない。けれど、それでも僕は「役に立っている」と感じられたりする。 吉田:そういうことに確信が持てないと、なんでやっているのかという気持ちに呑まれてしまいますよね。阿部さんの「世の中を良くしたい」じゃないですけれど、ぶれながらも、軌道を修正しながらも僕も結局そこに辿り着いているような気がします。 阿部:ここまで聞いてくれた学生のふたり、質問ありますか? 学生:学生の僕らとおふたりの一番の違いって、クライアントのためのものづくりであることかなと思っていますが、複数の人と協力してつくることの楽しさって何ですか? 阿部:やっぱり2人だから、5人だから、10人だからできることがあるのが面白い。自分じゃ思いつかないことを誰かが言ってくれることで、何か突破できるようなアイデアになったり、自分の技術だとどうしてもこれ以上は組み立てられないけれど、この人の技術があればそれが実現できるということがあったり。シンプルに一人でできることって限られていますからね。 吉田:これ、アフリカの諺らしいんですけれど『速くいきたければ一人でいけ、遠くにいきたければみんなで行け』という言葉があるらしいんです。自分が知っている範疇の仕事だったら自分がやるのがどうひっくり返っても一番速い。でも、そこじゃない何かに到達したいからみんなでやるんですよね。 学生:すべてがあまりに新しくてまだ頭の中を整理し切れていませんが、お二人はさまざまなことをちゃんと経験され、求められる前に多くのことに触れているから、求められたときにアジャストしていけるのだと思いました。参加させていただいて、とても良かったです。 吉田:まさに「勉強をしたほうがいい」というのはそういうことです。求められないことって基本しんどいことだと思うから。自分がやりたいこと、できることをアップデートするには勉強しなくちゃいけないのだと思います。 阿部:勉強するって何かと言うと、本を読むだけじゃなくて、いろいろな人と話してみることもそう。僕らの頃より今の方が確実に選択の幅がたくさんあると思うから、うちなる自分の言葉や気持ちにちょっとわがままになりながら、自由にたくさんチャレンジして失敗するのがいいなと思いますよ。 vol.1〜「紆余曲折。」はこちら vol.2 〜「デジタルの世界へ。」はこちら vol.3〜「それぞれのテーマとふたりのクリエイティビティ考察。」はこちら

【特集記事】第3回 卒業生の職場訪問 阿部智史さん×吉田圭さん(電通デジタル)vol.3

2024年3月29日

「世の中をちょっと良くする」を模索する、 ふたりが考えるクリエイティビティ。 多摩美OBが活躍する「電通デジタル」を訪問! 阿部智史さん(左)と吉田圭さん(右)総合デジタルファーム・電通デジタルに在籍し、コンサルティングや新規サービス提案に奔走する多摩美OB阿部智史さんと吉田圭さん。「社会をよりよくしたい」と口を揃えるふたりの対談を全4回で配信。在学時のエピソードから卒業後の進路、そして現在の仕事まで、それぞれの視点から美大生が獲得でき得るキャリアの広がりについて聞かせてくれた。 阿部智史(Satoshi Abe) 多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報アートコースを卒業し、レコードショップに勤めたのち、デジタルの世界へ。電通デジタル入社後は、顧客基点によるマーケティングDXの推進業務に従事し、マーケティング戦略策定、組織変革支援などのコンサルティングから、システム導入、アプリ開発といった基盤・施策領域の実行まで、デジタルを活用したビジネス変革を幅広く支援。カスタマーサクセスをテーマに、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化するためのソリューション開発に尽力する。 吉田圭(Kei Yoshida) 多摩美術大学美術学部2部デザイン学科ビジュアルコミュニケーションデザインコース卒業。在学中よりプロダクションでWEBサイトのデザイン・設計・開発業務に従事。2014年より電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)に合流し、サイト構築、プロモーション設計、コミュニケーション設計、顧客体験設計など、幅広い業界でプロジェクトの戦略立案、設計などに携わる。事業開発プロジェクトを得意とし、現在は家電ブランドの2030顧客接点の未来を構想するプロジェクトを推進中。 https://youtu.be/L__GCSLXYvg?si=uMim-5zTn2WMfeom それぞれのテーマとふたりのクリエイティビティ考察。 阿部:僕は今、企業の課題をコンサルテーションして解決していくお仕事をしていますが、「売らないで、どうビジネスを成長させるか」というのを実はテーマとしているんです。 吉田:「売る」ことだけが企業成長ではない、と。 阿部:そうです。少子高齢化や経済の低迷など日本の市場は確実にシュリンクしていて、モノはどんどん売れなくなって行くわけです。そんな中で、新しいものばかりではなく、ずっと使い続けてもらうことを考えるとか、もっと好きになってもらうことを考えるとか。マーケティングや広告ではないカタチで生活者と企業の一助になるような仕事ができるのが、「電通デジタル」のいいところだとも思っています。 吉田:僕はデジタル以外の業界を検討しながら結局またデジタル業界に戻ってきたわけですが、ホームページやメールマーケティングなどのお仕事を経て、今は企業の新規事業をつくるというのを主に担当させてもらっています。新しいものとか、サービスとかもともと大好きでしたから、やりがいがありますね。 阿部:デジタルの世界、吉田さんにもめちゃめちゃフィットしているということですね。 吉田:僕、役に立っているかな?と思う瞬間は、サービスを考えた際に、おおよその外観を瞬時に描けることかな、と思っていて。こういう仕組みには何が必要で、そうなるとどんなリソースが必要とか。そういうのって、ホームページやWEBを設計してきた前職までの経験がとても活きていると感じています。 阿部:組織内でも最終のアウトプットイメージを瞬時に描ける人は希少かもしれません。 吉田:新しいモノをつくる時って、すでに「答え」があるものに向き合っていたら遅れてしまうと思っているんです。例えばオンラインショップでいえば、その一つの「答え」ってAmazonですよね。だから今からAmazonを真似しても勝ち目がない。特にコロナ禍以降はそのスピードが加速していると感じていて。 阿部:確かに。 吉田:昔はそのスピードがもっと緩やかだったので、模倣が通用していたと思うんです。けれど、世の中のスピードが変わったからには、事例があるところに向かってもダメだと考えています。そのときに、美大や予備校時代に身につけた「答え」がないモノに向き合って思考する姿勢がとても役に立っている。それと、「答え」が一つではないところに向かって考えること、僕はそれ自体がすごく好きみたいですね。 阿部:世の中に「答え」ってないですからね。たぶん、正解もないと思う。 吉田:コンサルの領域だと「答え」は求められませんか? 阿部:そうですね、めちゃくちゃ求められます。だから左脳的にロジックを整理して、どこから見ても非のないようにきちんと組み立てることをまずはやる。なんですけれど、それだけだと誰かほかの人が考えた時にも同じようなものが出来上がってしまう。要するに、正解だけをつくろうとすると、みんな同じところに行き着いてしまうんです。 吉田:「答え」や「正解」は、求められがちになりますからね。 阿部:だから僕はそこにちょっと右脳的な要素を加える。「美しい」ってどういうことだっけ?とか、人の心を動かすためには、何が必要なんだったっけ?とか。抽象的だけど、絶対“みんなの中にあるだろう”ということを考えて加えるようにしています。というか、美大の頃に鍛えられて、感覚的に自分の中に根付いているのかもしれません。 吉田:いわゆるコンサルティング的に考える方たちはロジカルに思考を積み上げていって、「正解」を求めることをされているように思います。けれど、そもそも「答え」が一つではないことはクリエイティブ的な前提ラインでもあると思う。例えば、最終形を決めてからロジックを組み立てるとか、両面性もあると思っています。 阿部:僕は「阿部の考えることってロジックだけじゃない。ちょっと柔らかいところとか、言語化しにくい気持ちの部分に取り組んでくれるところがいいな」と思ってもらえるようなことを価値として付け加えていける人でありたいと思っています。 吉田:だからこそ阿部さんは特殊なポジションになるんですよね。左脳だけで整理する人ではない価値を出せる人。 阿部:僕なんかがおこがましいのですが(笑) 吉田:「クリエイティブってなんだろう」と考えたときにも、やっぱり答えが一つじゃないことを見出すことが原点にあるのかな、と僕は思っていて。おそらくその「クリエイティブの良さ」みたいなものを言語化(説明)できないことなのかなと思います。 阿部:説明できない何か、というのはあるかもしれないですね。 吉田:そうですね。例えば「めちゃめちゃイケているコピーが、なんでイケてるのか。」というのって、ある一定のロジックは組み立てることができても、完全には解説できないかもしれないし、「再現性があるか」といえば、おそらく難しい。 阿部:クリエイティブなことって必ずしも表現とか意匠とかに限らなくて、そうではないものも僕はクリエイティブだなと思っているんです。 vol.1〜「紆余曲折。」はこちら vol.2 〜「デジタルの世界へ。」はこちら vol.4 〜 「最終回「世の中」のためになりたい。」はこちら

べかたろう『たべものなんだ』出版のお知らせ

2024年3月28日
#出版

書籍名たべものなんだ著者べかたろう(2015年美術学部卒 他)発行元株式会社KADOKAWA定価1,320円(本体1,200円+税)判型165×165mm/角丸製本総頁24頁ISBN978-4-04-606854-5発売日2024年3月21日(木)WEBKADOKAWA(販売サイト) ■ 概要べかたろうの「本物で感じるたべもの絵本」シリーズ第3弾!【0才から5才】 ★デビュー作『どんなかお?』第16回MOE絵本屋さん大賞2023 ファーストブック賞 TOP20入選★第1弾『どんなかお?』第2弾『かえましてん』、乳幼児向け子ども番組『シナぷしゅ』(テレビ東京系列)にて放送 これなんだ? いちごのおうち?はなれてみたら……ホットケーキ!思わぬ姿にビックリドッキリ。見た目が変わると、お名前も変わるね!お料理の発見といっしょに柔らかい頭も育つ写真絵本。 ★やわらか脳や食育にぴったり★「豊かな感性を伸ばす格好の絵本」汐見稔幸(東京大学名誉教授) 「食べてみたい!が沸いてくる」長谷川あかり(料理家・管理栄養士) ■ 著者プロフィールべかたろう“「食」への関心、新しい視点の発見”をテーマに、たべものを使ってイメージを見立て表現する4人グループ。近著は『どんな かお?』『かえましてん』。メンバーは広告業界に従事する、ムービーディレクターの白玖欣宏(OTAMIRAMS)、フォトグラファーの近藤恵佑、フードコーディネーターの瀬元聖央、フォトレタッチャーの谷山香織。食材の新しい視点を考える「“食”写真絵本」、親子向けの「“食”ワークショップ」など日々制作&活動中。Instagram: @bekataroX: @bekataro

大橋 玄さん「第62回 富士フイルムフォトコンテスト」優秀賞受賞

2024年3月27日
#展覧会 #受賞

本学卒業生の大橋玄さんが、「第62回 富士フイルムフォトコンテスト」 の組写真部門で、優秀賞を受賞されました。おめでとうございます!作品は入賞作品発表展で全国4都市で展示されます。 受賞者大橋 玄(2001年美術学部卒業)受賞「第62回 富士フイルムフォトコンテスト」 組写真部門 優秀賞WEBFUJIFILM HP 会場富士フイルムフォトサロン 東京東京東京都港区赤坂9-7-3 フジフイルムスクエア内会期2024年4月12日(金)~2024年4月24日(水)[全部門一斉展示]10:00~19:00 (入館は終了10分前まで)/最終日16:00まで 会場富士フイルムフォトサロン 大阪大阪府大阪市中央区本町2-5-7 メットライフ本町スクエア1F会期2024年5月10日(金)~2024年5月16日(木)[全部門一斉展示]10:00~19:00 (入館は終了10分前まで)/最終日14:00まで 会場富士フイルムフォトサロン 札幌北海道札幌市中央区大通西6-1 富士フイルム札幌ビル1F会期2024年6月28日(金)~2024年7月3日(水)[自由写真部門・組写真部門]10:00~18:00 (入館は終了10分前まで)/木曜 休館※ 6月29日(土)は13:00~18:00 会場富士フイルムフォトサロン 名古屋愛知県名古屋市中区栄1-12-17 富士フイルム名古屋ビル1F会期2024年7月26日(金)~2024年8月1日(木)[自由写真部門・組写真部門]10:00~18:00 (入館は終了10分前まで)最終日は10:00~14:00

【特集記事】第3回 卒業生の職場訪問 阿部智史さん×吉田圭さん(電通デジタル)vol.2

2024年3月22日

「世の中をちょっと良くする」を模索する、 ふたりが考えるクリエイティビティ。 多摩美OBが活躍する「電通デジタル」を訪問! 総合デジタルファーム・電通デジタルに在籍し、コンサルティングや新規サービス提案に奔走する多摩美OB阿部智史さんと吉田圭さん。「社会をよりよくしたい」と口を揃えるふたりの対談を全4回で配信。在学時のエピソードから卒業後の進路、そして現在の仕事まで、それぞれの視点から美大生が獲得でき得るキャリアの広がりについて聞かせてくれた。 阿部智史(Satoshi Abe) 多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報アートコースを卒業し、レコードショップに勤めたのち、デジタルの世界へ。電通デジタル入社後は、顧客基点によるマーケティングDXの推進業務に従事し、マーケティング戦略策定、組織変革支援などのコンサルティングから、システム導入、アプリ開発といった基盤・施策領域の実行まで、デジタルを活用したビジネス変革を幅広く支援。カスタマーサクセスをテーマに、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化するためのソリューション開発に尽力する。 吉田圭(Kei Yoshida) 多摩美術大学美術学部2部デザイン学科ビジュアルコミュニケーションデザインコース卒業。在学中よりプロダクションでWEBサイトのデザイン・設計・開発業務に従事。2014年より電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)に合流し、サイト構築、プロモーション設計、コミュニケーション設計、顧客体験設計など、幅広い業界でプロジェクトの戦略立案、設計などに携わる。事業開発プロジェクトを得意とし、現在は家電ブランドの2030顧客接点の未来を構想するプロジェクトを推進中。 https://youtu.be/L__GCSLXYvg?si=uMim-5zTn2WMfeom デジタルの世界へ。 阿部:レコード屋が廃業して、25を過ぎて、初めて社会でやっていくために何かできるようにならなきゃと焦るようになりました。 吉田:僕にも転機のようなものがありました。それが28歳。僕は大学4年生の頃から毎年自分の誕生日パーティーを1年がかりで企画して、100名くらい招待して、場所を借りて、印刷物を手配して、盛大に行っていたんです。でも5回目を迎えた28歳のときにふと「このまま30になるのはマズイ」と思って。テレビ業界やイベント業界に興味があったので就活して回ってみましたが、実績がないので全部ダメでした(笑) 阿部智史さん(左)と吉田圭さん(右) 阿部:僕はレコード屋のあとデジタルを中心にしたプロダクションに丁稚奉公みたいな感じで入りました。デザインも、撮影も、ライティングもすべて見よう見まね。プロデューサー業、ディレクター業、とにかくなんでもやりました。そうしているうちに、せっかく自分が美大で学んだ“ものの見方”をもっと活かして、世の中のためになる、創造的な仕事をしたいと思うようになりました。 吉田:僕は転職エージェントに相談に行きましたね。すると、学生時代のプロダクション時代の経験が活かせそうだと教えてくれて、デジタル系の小さなベンチャーに面接へ行きました。そしたら面接20分で即採用。その社長の決断のスピードに惚れてしまって、デジタルの世界に入ったわけです。 阿部:それまでデジタルに興味があったわけではないんですね。 吉田:覚えているのが入社初期のこと。唐突に打ち合わせに連れて行かれて、偉い人と会食をして、プレゼンに同席して、いきなり資料を作成しといてと言われて。さらに翌週は唐突に一人で打ち合わせ。その仕事、受注したんですよ。「吉田くんすごいね」と社長にも言われて。もう、アドレナリンどばーって感じです。 阿部:適性があったということだ。 吉田:そこからは自分のキャパシティと仕事のバランスが取れない程に案件を詰め込みました。仕事していることが楽しかった。たぶん、求められるのが嬉しかったんでしょうね。それまで就職もせずにふらふらしていましたから、自分に頼み事をされるという経験も少なかった。次の仕事、次の仕事ってどんどん求めてもらえることが嬉しかったのだと思います。 阿部:結局僕らふたりとも、美大の学びに救われていますね。僕は電通デジタルに就職するまでに3回転職をしていますが、突き詰めていくと、表現とかデザインとかクリエイティブとかっていうのは、表面に出てくる意匠やデザインだけではないと感じていて。 吉田:そう。それ以外のところでデザインするということが面白いという気づきがありました。 阿部:僕、いわゆる広告業というようなところにも身を置いていたことがあるんですが、広告って少し虚しいな、と思ったような時期もあって。 吉田:僕らは広告屋でもありますが(笑) 阿部:というのも、広告ってやはりすごくお金がかかるんです。CMもグラフィックも、めちゃくちゃお金をかけて、もちろん経済を動かすために必要だし、多くの人を感動させる事もできるんです。でも、なんかこう、寂しさみたいな感覚が抜けなくなってしまって、一度打ちひしがれたことがあるんです。 吉田:ははは。阿部さんはどうして電通デジタルにきたんでしょうね。 阿部:入社のきっかけは人との出会いです。広告以外のところで、自分のやってきたことや、やれることを活かして何かできないかと思っていた時に、電通デジタルの上司になる人に出会いました。そのときにその人、「これから電通はモノを売る会社じゃなくなる」と言われたんです。 吉田:ほう。 阿部:「電通」といえば徹底的にモノを売るための会社というイメージがありました。失礼ながらそう思っていたその会社の偉い人が「これからはモノを売るという時代が終わる」「電通はそういう会社じゃなくなる」と言ってるんです。それ、なんかすげー面白いと思って。 吉田:「売ることだけを考えてきた会社」のイメージだったわけですからね(笑) 阿部:これからこの会社はどうなるんだろう、とワクワクしました。それと、この人たちと一緒に働きたいと思いましたね。 吉田:実際、今阿部さんがされているお仕事って、モノを売らないですものね。 阿部:吉田さんの場合は? 吉田:自分で言うのもアレですが、僕、前の職場でエースだったんですよ。会社の売上の大きな部分に自分が関わっているみたいな。今思えば井の中の蛙ですよ、はずかしい。なんとなく次のステップを探したいと思いはじめ、電通デジタルに面接に来たんです。そしたら、めっちゃ話が合うというか。こんなに話が合って、優秀な方がいる環境で働きたい、と思って入社を決めました。 vol.3 〜「それぞれのテーマとふたりのクリエイティビティ考察。」はこちら vol.1〜「紆余曲折。」はこちら