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チャリティビエンナーレ2023|開催のお知らせ

2023年11月22日
#イベント #校友会 #展覧会

 この度、一般社団法人多摩美術大学校友会主催の「チャリティビエンナーレ2023」をフェイアートミュージアムヨコハマにて開催します。 多摩美術大学校友会では、1998年より会員の芸術活動支援と社会貢献を目的に、美術作品を販売するチャリティ展を開催してきました。多摩美術大学の在学生と卒業生が参加する本展では、絵画・版画・彫刻・工芸品からテキスタイルやアクセサリーまで幅広いジャンルの小作品を展示・販売します。販売収益の半分は、「多摩美術大学校友会奨学金基金」と「社会貢献のための寄付金」に充てられます。ぜひ皆様お誘い合わせの上、ご来場ください。 展覧会概要 主催一般社団法人多摩美術大学校友会出品者多摩美術大学の在学生と卒業生 109名日程2023年12月10日(日)~12月24日(日)時間10:00~19:00(最終日は17:00まで)休廊日月曜日会場FEI ART MUSEUM YOKOHAMA横浜市神奈川区鶴屋町3-33-2 横浜鶴屋町ビル1Fアクセス各線「横浜駅」西口より徒歩6分 西口地下街を通り「南12 番出口」より出て左「鶴屋町3 丁目交差点」前方左角入場料無料問合せFEI ART MUSEUM YOKOHAMATel:045-411-5031Mail:info-artmuseum@fukasaku.jp イベント概要 日時12月17日(日)14:00~・16:00~料金一般 1,000円|出品者 無料*当日会場受付にてお支払いください*お釣りのないようご用意ください定員一般 先着30名|出品者 定員なしご案内イベント開催中も入場無料で作品鑑賞が可能ですが、イベント会場での鑑賞となるため、他の時間帯でのご来場をおすすめします。作品鑑賞のみをご希望のお客様にはご不便をおかけしますが、予めご了承ください。 14:00 〜スペシャルゲストによるトークショーコレクターから見た 魅せる作品 売れる作品山本冬彦氏(コレクター&アートソムリエ) 山本冬彦(やまもと・ふゆひこ)1948年石川県生まれ。東京大学卒業後、合繊会社・保険会社勤務などのサラリーマン生活を続けながら、趣味として毎週末銀座・京橋・日本橋界隈のギャラリー巡りをし、その時々の若手作家の作品を購入し続けるサラリーマンコレクター。放送大学・理事を最後に退職し現在は銀座に隠居。隠居後も銀座の隠れ家を拠点に毎日のギャラリーめぐりとコレクションを続け、雑誌・新聞などの取材やビジネスパーソンへのアート普及のための講演や執筆活動なども行う。 16:00 〜チャリティビエンナーレ賞 授与式優れた作品にチャリティビエンナーレ賞を授与します*授与式は一般の方もご覧いただけます*1作品につき3万円(総額30万円)の賞金を授与します*これまでの個展バックアップ賞に代わるものとして本賞を新設します*個展バックアップ賞、チャレンジ賞の受賞歴がない方が対象です 授与式終了後レセプションパーティー多摩美術大学ジャンベ民族楽器部によるジャンベ演奏ジャンベ民族楽器部は、西アフリカ発祥の楽器であるジャンベを中心に演奏しているパフォーマンス集団です。ダンス、歌、リズムでアフリカの風を吹かせに行きます!*レセプションパーティーでは、飲食をしながらご歓談いただけます https://alumni.tama-art-univ.or.jp/news/event/%e3%83%81%e3%83%a3%e3%83%aa%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%93%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%83%ac2021%ef%bd%9c%e9%96%8b%e5%82%ac%e5%a0%b1%e5%91%8a 前回の様子はこちらからご覧いただけます

チャリティビエンナーレ2023|出品者はご確認ください

2023年10月31日
#展覧会 #校友会 #イベント

多摩美校友会チャリティビエンナーレ2023にお申込いただき誠にありがとうございます。お申込いただいた皆様を掲載いたします(2023年11月17日17:00時点)。お申込済にも関わらずお名前がないという方は、お手数をおかけしますが校友会事務局(info@alumni.tama-art-univ.or.jp)までご連絡をお願いいたします。 あいじアラキケイ石井和哉伊藤あずさ 井上洋介猪股義郎碓井義忠宇野 務遠藤小夜大石文大石れい子大岩新子大隅敏男おおそねゆき大塚里菜大西房子大橋玄大室圭子大矢雅章岡宏治小笠原博岡田美紀尾高佳代小野範子小渕俊夫かえかしわぎりえ金澤明日香 河内成幸。官野良太神戸沙織Kiui 菊地武彦北野 茜君塚裕美京谷美穂Keico Watanabe孔輝 こうしらくコウ フェイ孤泥小林るり近藤晴夏 近藤智枝酒井重良佐藤翼 JIMI清水満久シム ヒョンジシュ テイギョク杉本羽衣鈴木ケイ高梨麻世高橋ユミ髙宮ヨウコ田川陽菜田中和真田中ヒデキ陳柏欣千田和代張馨丹張森洋陳笑坪田菜穂子手塚葉子虎猫図案房中川ハシル中川実咲中島勉 ナガタユミ中村一哉朴香淑ハンシンウ檜木小春兵頭菜奈平賀卓也 平田守福田千聖FUYUKOPAIKIN保坂洋平堀内萌本庄彩子マサダナナエ升方允子松村誠一Maborosi Panda PoiPoi舞夢Maria Tanikawa丸勝美丸れいなミシマサオリ宮島えりかモトカワトヨコ森博美やあべそい八木幾朗山本清響兪晶晶油座帆花Yoo!Shibata吉城弘Randy TAKAHASHI陸楠李燦辰りゅうす劉 彦孜りりんゑゑ怜み 2023年11月17日17:00時点 https://alumni.tama-art-univ.or.jp/news/event/charitybiennale2023_entry

10月2日美術を楽しむ日を記念してギャラリーツアー映像を公開!

2023年10月2日
#校友会 #イベント #四美大

美術を楽しむ日とは芸術の秋、美10(ジュ)2(ツ)と語呂の合う10月2日を「美術を楽しむ日」として2017年に四美大アラムナイが記念日申請し、一般社団法人 記念日協会より登録認定されました。 https://youtu.be/Se8pGcsd7Mc 「美術を楽しむ日」ギャラリーツアー|日本画家・八木幾朗さん|多摩美術大学校友会 一般社団法人多摩美術大学校友会では「美術を楽しむ日」のイベントとして、小学生を対象にギャラリーツアーを開催しました。展示作品を描いた日本画家・八木幾朗先生が、皆さんとお話をしながら一緒にギャラリーをまわりました。今回、その様子を「美術を楽しむ日」を記念して公開いたします。(同日開催:八木雪舟氏によるチェロコンサイート、キャンパスツアー) 開催概要案内人日本画家・八木幾朗先生(1983年多摩美術大学大学院日本画修了)日時2023年5月6日(土)第1回 14:30~15:15 第2回 15:30~16:15会場多摩美術大学八王子キャンパス アートテークギャラリー東京都八王子市鑓水2-1723定員参加者84名対象八王子市、町田市に在住の方参加費無料主催一般社団法人多摩美術大学校友会後援八王子市教育委員会、町田市教育委員会関連サイト戦争と人間 八木幾朗 退職記念展 四美大アラムナイとは一般社団法人女子美術大学同窓会・一般社団法人多摩美術大学校友会・東京造形大学校友会・武蔵野美術大学校友会からなる四美大校友会同窓会連合です。 キャンパスツアーの様子 キャンパスツアーの様子 キャンパスツアーの様子 キャンパスツアーの様子 ギャラリーツアー フライヤー ギャラリーツアー フライヤー 展覧会 フライヤー 展覧会 フライヤー

【特集記事】第2回 卒業生の職場訪問 新城宏明さん(BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN)vol.1

2023年7月13日

「建築士として空間のポテンシャルを見出し、より高める」 多摩美OB主宰の「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を訪問! 神奈川県三浦市にあるシェアスペース「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を運営する一級建築士・新城宏明。新城自身が設計デザインした「BAYSIDE SHARE」は、三浦半島のクリエイターやフリーランサーが行き交う“オモシロい人々のるつぼ”となりつつある。今回、取材陣は2021年4月にオープンした「BAYSIDE SHARE」を訪問した。 新城 宏明(Hiroaki Arashiro) 一級建築士、建築デザイナー。ボリビア生まれ、横浜育ち。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科スペースコミュニケーションコース卒業。建築の専門学校を卒業し、造作大工として活動した後、3年次編入で多摩美に入学。空間デザインを専攻し、デザインに対する美意識を高める。現在は神奈川県三浦海岸でシェアスペース「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を主宰。自然豊かな環境を拠点とし、クリエイティブの力で街の活性化を企む。 https://youtu.be/InW_dJd8aDI 海沿いのシェアスペース 「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」は2021年4月に誕生した海を望むカフェ&コワーキングスペース。運営するのは、多摩美OBの一級建築士・新城宏明だ。 建築の専門学校を卒業して造作大工として経験を重ねていくうち、「もっと美意識を高めたい」と多摩美のデザイン学科(空間系)に編入した新城。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科スペースコミュニケーションコースを卒業後、数年の設計事務所勤務を経て設計士として独立した。 「独立した当時、僕自身がコワーキングスペースでよく作業をしていました。主に都心のコワーキングを利用していましたが、『海沿いなどのロケーションの良いところでテレワークできたらいいな』と漠然と思っていました。 けれど、そういう場所を探してみるとなかなかないんです。コロナ禍にテレワークが世の中に浸透すると、『自然豊かな環境に移住する方も増えるだろう』ということを予測し、作った場所がコワーキングスペースやカフェ、自分の設計事務所などが入る複合施設『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』です。海沿いに作ろうと、海沿いの物件探しから始めました」 デザイナーやクリエイターが自由に集まることができたり、一緒にもの作りをしたりできるクリエイティブコミュニティースペースを作るというのは、新城の多摩美学生時代からの夢だったという。 建築士として、空間のポテンシャルを見出す 物件探しはGOOGLE MAPのストリートビューで。 「名古屋の方から神奈川の海沿いまで、すごく広い範囲で検索しました。ずっと、海を見ずに反対側の建物ばかりを見ていると、正面に海を臨む物件に賃貸看板が掲げられているのが目に留まり、すぐに問い合わせました。内見をして、ほぼ即決でした」 『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』は、もともと漁業組合の事務所兼倉庫として利用されていた鉄筋コンクリート造の建物をリノベーションした空間。新城自身が設計デザインを担当している。 「もともとは海側の窓がすりガラスだったので、そこが抜けたら海を一望できるな、とフィックスガラスにすることを最初に考えました。働きながら、海を眺められるという環境をどうしても作りたかったんです。窓を交換させてほしいこと、新たにウッドデッキを作らせてほしいことなどを交渉し、カフェやワークスペースのレイアウトを決めていきました。これほどの広さがあって、海を目の前に臨む絶好のロケーション。ここを見つけた時は、建築士としてこの場の価値を見出した気がしました。 そこからは空間のポテンシャルを上手に活かすのがキモです。建物をすべてスケルトンにして空間を再構築。内装は予算をかけずにラフな仕上げとし、あらわにした躯体を活かすようなデザインにしました。カフェスペースは白い壁、コワーキングスペースはグレーを採用し、光の反射が作業を邪魔しないように考えています」 コワーキングスペースには海を望める席があるほか、仕事の合間にくつろげる小上がりの和室空間や、オンライン会議のほか、メイクアップスペースとしての利用実績もあるという個室が備わる。 「僕は大工経験もある人間なので、図面を引くだけでなく自分の手を動かしてものを作るのも好き。設計をする上でも、手作りできる要素を必ず取り入れています。『BAYSIDE SHARE』でいえば、テーブル。このテーブルは杉の一枚板をバーナーで炙って炭化させ、樹脂コーティングを施してデザイン性をもたせました。やっぱり、自分で好きなように作るのは楽しいです」 人のつながりが、新たなクリエイティブを作る 『BAYSIDE SHARE』は新城自身が都心でシェアオフィスを利用していた経験を基盤とした、リアルなライフスタイルイメージが空間を構成。仕事、軽食とコーヒー、そして仕事終わりのアルコール。オープンして2年、常連同士の協働も生まれはじめている。 「オフィスとカフェ、夜はバー。個人的には理想的な環境を創り上げることができたと思っています。オニバスコーヒーの豆で入れた美味しいカフェラテを飲みながら仕事をして、疲れたら浜辺を散歩して、夕焼けの頃にはデッキでビールを飲みながら、良い気分で一日の仕事を終える。その後はバー営業に切り替わったカフェスペースでコミュニティーの輪を広げる…。都心でのスタイルにあるような、ワークライフスタイルを『BAYSIDE SHARE』でも可能にしています。ようやく地元の人の利用も増え、『BAYSIDE SHARE』は目立つ存在になってきてきたかな。 人が集まる場の面白さというのは、僕が多摩美の学生時代から感じていたことです。いろんな人が関わってくれることで、学園祭みたいに楽しみながらものづくりができると思うんですよね。いろんな個性を持った人たちが集まって、みんな自分にできる分野で力を発揮する。そういうのは将来的に街の活性化につながると考えています。 三浦海岸はこれからどんどん面白くなっていくと思う。今年の夏は3年ぶりに花火大会も開催される予定ですし、海の家も新しくなります。僕にとってもチャンスですよね。街が動き出そうとしている時だから、僕も積極的に関与していきたい。シェアオフィサーとして場所や機会を作ることはもちろん、建築士としてもできることはたくさんあると思います。」 「エリアリノベーション」という言葉を掲げ、場づくり、きっかけづくり、そしてあらゆる出会いによるクリエイティブな化学変化を探る新城。美大卒、そして設計士・建築士でありながら、シェアオフィサー。いくつもの肩書きをホッピングして自身の役割を広げる彼のような人物こそ街を目覚めさせる起爆剤となるのだろう。 『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』。ひとつの建物の存在が、街の様子を大きく変えるかもしれない。 vol.2 〜「美大生時代のような、「楽しい」の感覚を追求する今。三浦海岸にシェアスペースを拓いた、建築士・新城宏明の胸の内。<前編>」〜

【特集記事】第1回 卒業生の職場訪問 山口範友樹さん(KLAMP STUDIO)

2022年12月16日

世界的フィギュア原型師・山口範友樹氏のスタジオを訪問! 『ONE PIECE』や『進撃の巨人』、『ドラゴンボール』といった超人気作品から数々の名作フィギュアを生み出してきた原型師・山口範友樹氏。造形美を評価する造形フィギュアの世界大会での優勝や、アーティストとのコラボ作品の発表など、名実ともにトップ原型師として注目を集めている。今回「フィギュアが大好きで、卒業後はフィギュア関係の仕事を志望している」という多摩美の学生が、制作現場(KLAMP STUDIO)を訪問。山口氏が原型師を目指したきっかけや、原型師の仕事内容の解説やこだわりなど、フィギュア制作のお話をたっぷり聞かせてくれた。 山口範友樹(Yamaguchi Noriyuki)原型師。1978年、東京都生まれ。多摩美術大学美術学部二部デザイン学科ヴィジュアルコミュニケーションデザインコース卒業。在学中に原型師・澤田圭介氏に出会い、弟子入り。造型・原型制作、造型に対する考えを学び、現在は玩具メーカー内の造型室「KLAMP STUDIO(クランプスタジオ)」を主宰。フィギュアの造形バトル「造形王頂上決戦」連覇の実績を持つほか、海外のアート展にも作品を出展。国内外問わず活躍の場を広げている。 https://www.youtube.com/embed/o5zsXMg2lC4 「原型師という仕事について」 「僕らの仕事は、マンガやアニメなどの二次元を立体化するというもの。フィギュアのデザインから彩色まで、原型制作をひとしきり行います。それに付随するパッケージの企画を行うこともあります。」 視覚デザイン学科の学生だった山口氏は、フィギュア制作に携わり始めた頃、造形に関する知識はほぼゼロ。原型師になるために、「すべての優先事項は原型師になること」としていたという。 「自分の場合、もともとフィギュアが大好きだったわけではないんです。たまたま大学4年生の時に素晴らしい師匠に出会い、原型師という仕事を知りました。原型師になったきっかけは、師匠の“モノで人を黙らす仕事”に感銘を受けたから。自分にとっては震えるほどの衝撃的な出会いで、原型師になると決めました。そこから一人前になるのに、10年くらいかかったかな」 フィギュア造形の世界バトル「造形王頂上決戦」にて連覇の実績を持ち、「世界で最も『ONE PIECE』フィギュアの制作に長けている」ことを自認する他、オリジナル作品をアート展へ出品することも。今や業界のトップランナーである。 「最先端テクノロジーと手技で作る」 造形室KLAMP STUDIOは、デジタル技術を積極的に取り入れている。仏像などの文化財のデータ採取にも使用するという超高精度な3Dスキャナーや、画面上で立体を作るヘラタブなど、最先端のテクノロジーをこれほど備えた造形スタジオは珍しい。 「これがヘラタブで操作するフリーフォーム、もともと医療用のシミュレーションマシンとして開発されたものです。立体の造形作業をデジタル上で処理でき、画面の3Dオブジェクトをなぞると触った感覚があるのがこのツールの面白いところです。原型を手で作る方法との一番の違いは“コマンドZ”ができること、粘土などの造形だと一度削ったり、形を変えると、そう簡単に元に戻せないですからね。迷うことなく大胆に手を動かせるこのスピード感がデジタルツールの革新的な機能です。僕はデジタル大好き。けれど基本は手を使うアナログ派です。アナログもデジタルも両方良さがある。要は使い方を工夫することが大事です」 「感性より努力。仕事だし」 スタジオの2階はアナログな作業をするスペース。デジタルで出力した立体も、仕上げは原型師がそれぞれの手技を駆使して行なっている。 「造形のやり方は彫刻のように掘ることもあれば、粘土で肉付けし形作っていくやり方もある。またメカっぽい角ばったものを作る場合はデジタルでの作業がやりやすく、布や筋肉の丸みを帯びた臨場感を出す場合は、手作業の方が適しているかもしれません。ただ、どういう手法で作業するかは原型師次第ですね。 僕のスタジオでは基本的にスタイルを作らない。スタイルを作ると仕事として困ることが多くなりますから。僕らが作っているのは『アート作品』ではなく『製品』であり、 量産が前提です。作品として1点ものを作るのであれば、とことん造形のみにこだわることができるのかもしれませんが、僕らが作っているのは何万個と流通する製品の原型。ですから、すべて同じクオリティで仕上がってくるようにすることを考えます。商品としてどれだけたくさんの人に喜んでもらえるものにできるかどうか。それが僕ら原型師の仕事の魅せどころです。」 原型師たちは皆、一枚の絵からどのように立体としての説得力を入れていくか、想像を巡らせ考える。そこに表現力の差が出るのだという。 「例えばフィギュアには、キャラクターが着ている服にシワがあります。そのシワの表現にもトレンドがあるんです。こういったトレンドを見極めるのも勉強。たくさんものを見て、インプットを重ねることで気づけるようになります。なんにせよまずは、感性より努力ですね。それが原型師」 「コミュニケーションで仕上がりが変わる」 KLAMP STUDIO 2階の複製室は、大手玩具メーカーも見学に訪れる場所なのだそう。複製は、彩色サンプル用の原型のための工程。シリコンで出来上がった原型の型を取って複製し、それに色をつけていく。 「赤は赤でも無限に色があるので、調合して表現の目的に合った赤にします。バトルシーンだから少しくすませようとか、象徴的な立ち姿だから彩度を上げようとか、シーンを考えながら色を仕上げます。色をつけたら原型が完成です。平面から立体に起こし、最後に色をつけるところまで、全部このスタジオで完結させることができます。 僕は知らないキャラクターのフィギュア制作を依頼されたら、そのマンガを読むことはもちろん、好きな人たちがどういう思いで作品を楽しんでいるかを友人や知人にヒアリングします。なぜなら、それを知ることでフィギュアの表情もポーズも彩色も変わってくるから。そのためにはやはりコミュニケーションが大事です。」 「100人いれば、100人がほしいと思うフィギュアを作る」 「例えば『ONE PIECE』のルフィなら、100人のうち100人がほしいと思うルフィを僕は作る。そのためには世間では何が流行っているかとか、みんなはどういうことを思っているかを知ろうとする行動が不可欠。『俺のルフィを作ってやるぞ』とは微塵も思っていないし、そもそもそれでは仕事にならない。少なくとも僕ら原型師の仕事とは違う。“作家”として生きていくのではなく、“仕事”としてモノづくりに携わる以上、コミュニケーション能力はめちゃくちゃ重要だと思います」 スタジオ見学も終盤。玩具メーカーやフィギュア制作に興味のある学生たちから「学生時代に身につけておくといいことは何か」と質問が投げかけられた。 「技術や知識的なアドバンテージがあることよりも、人に何かを伝えようと努力する姿勢だと思う。つまり、見る人のことを考えられるかどうか。格好よく見せるための努力と、見る人がどう思うかを考え続けること。それが良いフィギュアの原型を作るためにも、一般的な就活の上でも、共通して重要なことだと思います。加えて、ちゃんと自分がやりたいことをアピールできることも大切。やりたいことにどれだけ優先順位をおいて、どういうつもりで向き合っているのか。僕はそれが感じられるポートフォリオがあれば、お! と手が止まりますよ」 最後に、これまでの中でもっとも技術と時間を要した仕事を語る。 「このフィギュアは友人でもあるアーティスト花井祐介くんと制作したもの。花井くんの絵を僕が立体にしました。例えば『ONE PIECE』のエースって服とか髪型とか、複雑でフィギュア制作も大変そうに見えると思うんだよね。けど、情報が多くあるものを情報通りに作るのは、技術さえ身につけば出来るようになる。正解があるんだから。一方でシンプルな二次元を立体にしたり、見た通りではないものを作ったり、技術に加えて想像力・感覚の部分を求められる仕事というのは、また一段と難しい。そして、楽しいです」 デジタルとアナログの両方を使いこなし、「欲しい!」と思わせるフィギュアの原型を次々とスピーディーに仕上げていく『KLAMP STUDIO』の山口氏。「アート作品ではなく製品づくりをしている」と言い切る彼と、最新鋭のツールを揃えたスタジオの様子から、「世の中の声に即したものづくりを徹底して追求し続ける」という、プロフェッショナルの心意気を窺うことができた。 一方で制作現場の雰囲気は柔らかく、“職人=固い気質”というイメージからはかけ離れている。「技術よりコミュニケーション」と学生らに語る山口氏の思想は、彼が指揮を執る『KLAMP STUDIO』内部にも浸透しているのだろう。 ビジネスの視点を持ち合わせながら、それだけではない。ものづくりを楽しむスタンスには学びが多くあった。原型師が違えばまったく違う表現になると改めて認識した今、フィギュアの見方・楽しみ方も変わりそうだ。 Netflix『Stranger Things』シーズン4公開記念フィギュア“COFFEE AND CONTEMPLATION”の制作秘話についての対談記事はこちらから。 https://www.youtube.com/embed/3Oy26tX7ASU

高橋士郎 自由の気膜 Shiro Takahashi・Freedom Membrane

2023年11月15日
#講演 #多摩美

この度、多摩美術大学では2021年急逝した髙橋士郎名誉教授(1970年大学院修了)の業績を紹介する展覧会「高橋士郎 自由の気膜 Shiro Takahashi・Freedom Membrane」を開催します。  2021年に急逝した高橋士郎名誉教授は、メディア芸術黎明期のパイオニア的アーティストであり、デザイン教育にコンピュータを導入した立役者です。1970年万博に20代で参加した後、空気膜造形の発明やキネティック彫刻の制作により世界に発表の場を持ちつつ、多摩美術大学ではコンピュータとインターネットの研究会を立ち上げ、キネティックアート、コンピューターアート、メディアアート、情報デザインといった新しい分野に取り組みました。30年以上にわたる教育と研究の積み重ねは、1998年の情報デザイン学科新設とメディアセンター創設につながる、社会の高度情報化に対応するべく美術教育の内容を更新し続ける試みでした。情報デザイン学科の新設後は、独自のメディア芸術教育のプログラムを作り上げるいっぽう、自身の作品だけでなく、学生作品を積極的に活用した情報芸術論を立ち上げました。本展はこうした高橋の多岐にして複雑な活動の全体像を紹介し、世界にむけて発信する契機となることを目標とします。高橋氏の膨大な創作活動とユニークな作品から、未来を見つめる視線を感じることができます。わたしたちにとって新しい表現を考える契機となるかもしれません。 日程2023年11月13日(月)~12月9日(土)時間11:00〜17:00休場日火曜、日曜、11月18日(土)、12月2日(土)場所多摩美術大学 八王子キャンパス アートテークギャラリー東京都八王子市鑓水2-1723 入場料無料主催多摩美術大学 髙橋士郎研究会協力株式会社バボット、多摩美術大学情報デザイン学科助成公益財団法人 小笠原敏記記念財団多摩美術大学共同研究「高橋士郎の創作・研究・教育実践の体系化のための基礎研究」

長亭GALLERY展2023

2023年11月13日
#展覧会

出品者高橋遥(2018年美術学部卒業)もりさこりさ(美術学部在学生)堺 大輝(2022年美術学部卒業)白帆ひろみ(2021年美術学部卒業)オオウチ リサ(2021年美術学部卒業)宮川 遥弥(2017年修士課程修了)ナカバヤシアリサ(2017年美術学部卒業)ほか日程2023年12月1日(金)~2023年12月10日(日)時間13:00~19:00休廊日月・火場所長亭GALLERY東京都中央区日本橋久松町4-12コスギビル4F問合せinfo@changting-gallery.comWEB長亭GALLERY展2023  この度、長亭GALLERYでは12月1日から12月10日の会期にて、公募形式によるグループショー「長亭GALLERY展」のファイナリスト展を開催致します。入選者の入選作品を展示し、グランプリ・優秀賞・特別賞・奨励賞、また来場者による人気賞を決定致します。 近年のアートシーンの盛り上がりに比例するように、そこで活動する若手アーティストの数やその幅もまた活況を呈していると感じます。そうした状況のため、一方では然るべき機会に恵まれず、アーティストとアートシーン、またコレクターとの繋がりを得ることができないケースも存在するのではないでしょうか。長亭GALLERYではアーティストのステップアップ、そしてそのための機会提供をすることを目的に今回の公募を企画しました。 審査員にはアーティストの小林正人氏、OJUN氏、諏訪敦氏、またアーティストの薄久保香氏を迎え、厳正な審査のもと、多数の若手アーティストが活躍する今日の日本のアートシーンの一端を切り取ってみたいと考えます。会場では審査員によるグランプリ・優秀賞・特別賞・奨励賞の他に、来場者の投票に基づく人気賞も用意する予定です。  私たちが生きている今日の時代、社会を深層を汲み取り、作品に落とし込み、そうして次に待つであろう新しい時代を予感させる作品たちを、是非とも会場でご覧頂ければ幸いです。

第2回「記憶の道」シンポジウム 『石の物語 Stone Story』

2023年11月10日
#講演 #多摩美

多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所よりシンポジウムのお知らせです。「記憶の道」シリーズとして第2回となる本年度のシンポジウムは、「石の物語」をテーマに開催します。石器の発明から建築の素材にいたるまで、「石」はつねに人間とともにあり、その歴史と記憶を伝えてきました。文字が刻まれ、石像が掘り出される石は、人類にとって、デザインとアートの礎でもあります。美術家・雨宮庸介氏をゲストに迎え、人間の創造性を永い時間のなかで眺めながら、わたしたちの現在を議論したいと思います。 日程2023年11月10日(金)時間19:00〜21:00(開場18:40)場所多摩美術大学TUB東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー5F(東京ミッドタウン・デザインハブ内)対象本学学生・教職員、学外一般参加方法*会場参加申込は先着順での受付。申込が定員に達し次第、募集を締切。⇒11/8 申込を締め切りました。*当日はYouTubeでのライブ配信あり。登壇者※敬称略雨宮庸介(ゲスト)港千尋(多摩美術大学教授)椹木野衣(多摩美術大学教授)佐藤直樹(多摩美術大学教授)金沢百枝(多摩美術大学教授)安藤礼二 (多摩美術大学教授)主催多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所問合せMAIL:iaa_info@tamabi.ac.jpWEB第2回「記憶の道」シンポジウム 「石の物語 Stone Story」

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