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【ガーデン同窓会2024】開催のご案内

2024年9月2日
#同窓会 #校友会

一般社団法人多摩美術大学校友会は、今年度もガーデン同窓会を開催します。今年は4年ぶりにビュッフェもお楽しみいただけます。卒業生の先生によるトークイベントや、準会員(在学生)による公演など、様々な企画をご用意しています。お誘い合わせの上、ぜひご参加ください。 日程2024年10月12日(土)会場多摩美術大学八王子キャンパスAホール/レクチャーホール ホワイエ〒192-0394 東京都八王子市鑓水2-1723進行●10:00~ 開場●10:30~ 開演●12:00  閉演●12:15~13:30 立食パーティー●13:45~14:15 構内散策(希望者)参加費お一人様 1,000円※小学生以下 お一人様 500円※2024年3月にご卒業の方、在学生、招待状をお持ちのゲストは参加無料となります。当日、受付にてハガキまたはメールに添付の招待券をご提示ください。その他●要事前申込(定員150名/先着順)●すべての卒業生・在学生がお申込みいただけます●ご家族の同伴が可能です●イイオ食堂・東学食堂の営業時間は11:00〜14:00です●校友会オリジナルの記念品クッキーをプレゼント(100名/先着順)お問合せ一般社団法人 多摩美術大学校友会事務局事務取扱時間:平日9:00〜11:30/13:00〜17:00MAIL:info@alumni.tama-art-univ.or.jpWEB:https://alumni.tama-art-univ.or.jp/お支払い方法事前にお支払いいただいた方へ当日受付にて校友会オリジナルボールペンをプレゼント!お支払いはこちら※お支払い後のキャンセル・変更・返金はできません。ご了承ください。※当日受付での現金・クレジット決済も可能ですが、大変混み合いますので事前清算にご協力ください。お申し込み方法正会員の皆様には、9月上旬にメールまたはハガキにて案内状をお送りしましたのでご確認ください。お申込みは専用Webフォーム、返信ハガキ、またはホームページにて受付ております。ホームページからのお申込みは以下よりお願いします。 卒業生 お申込み 在学生 お申込み お支払いはこちら

四美大アラムナイ特別企画「美術を楽しむ日」ギャラリーツアー2024

2024年8月26日
#展覧会

今回は「美術を楽しむ日」の記念イベントとして「多摩美術大学助手展 2024」をご紹介します。本展示は、多摩美術大学の研究室でお仕事をしながらアーティストやデザイナーとして活躍する助手さんの展覧会です。大学の先生や作者から作品の説明を聞いたりインタビューができるので、みなさんの「美術大学ってどんなところ?」という疑問を解決できるかもしれません。ぜひご家族で遊びにきてください。 ◆ギャラリーツアー 案内人深津裕子教授(多摩美術大学リベラルアーツセンター)日程2024年9月14日(土)時間第1回 10:30〜11:15第2回 13:30〜14:15第3回 14:30〜15:15第4回 15:30〜16:15※応募人数多数のため、午前中のツアーを追加しています。(各回60名程の予定)場所多摩美術大学八王子キャンパスアートテークギャラリー参加費無料定員等各回先着20名(事前申込制、16歳以下は原則保護者同伴)対象八王子市、多摩市、町田市に在住の方後援八王子市教育委員会、多摩市教育委員会、町田市教育委員会お申し込み方法「【ギャラリーツアー】応募フォーム」から事前にお申し込みください※2024年8月28日(水)14:00〜受付開始 ◆展覧会 展覧会名多摩美術大学助手展 2024日程2024年9月2日(月)~ 2024年9月18日(水)時間10:00~17:00休館日日曜日入場料無料会場〒192-0394 東京都八王子市鑓水2-1723多摩美術大学八王子キャンパスアートテークギャラリーJR横浜線・京王相模原線橋本駅北口から神奈川中央交通バス「多摩美術大学行」で約8分。 美術を楽しむ日とは芸術の秋、美10(ジュ)2(ツ)と語呂の合う10月2日を「美術を楽しむ日」として2017年に四美大アラムナイが記念日申請し、一般社団法人 記念日協会より登録認定されました。四美大アラムナイとは女子美術大学同窓会・多摩美術大学校友会・東京造形大学校友会・武蔵野美術大学校友会からなる四美大校友会同窓会連合です。 【お願いと詳細】・ギャラリーツアーの運営はすべて一般社団法人多摩美術大学校友会事務局にて行います。・各回ギャラリーツアー後、希望者を対象にキャンパスツアーを計画しています。校友会スタッフ引率の元、構内を歩いてまわり、現役プロダクトデザイン学生の制作現場と図書館をご紹介します。(第1回 15:30~16:00 / 第2回 16:30~17:00)・記録としてツアーの様子を撮影します。また、記録物は、多摩美術大学、校友会、四美大アラムナイの報告書や広報媒体(ホームページ、YouTube含む)に掲載することがあります。あらかじめご了承ください。

2024年度 多摩美術大学校友会の活動に向けて

2024年7月12日

会員の皆さま             先日6月29日に行なわれました定時社員総会2024におきまして、任意団体として旧来の組織が保有しておりました残余財産について、満場一致のもと、一般社団法人多摩美術校友会への移譲が承認されました。また、2024年度の活動計画、予算案が可決されたことで、今年度の事業が正式にスタートすることとなりました。昨年度からスタートした組織の改編と活動の継続が円滑に進められていること対して、改めて会員の皆さまに御礼を申し上げますとともに、引き続き、多摩美術大学校友会への一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。  さて、次年度の2025年度は、多摩美術大学が創立90周年を迎え、校友会も任意団体の時期を含めて30周年を迎える記念すべき年となります。本年度はその準備を進める年となります。現在、2025年10月18日に大学での記念式典が予定されており、校友会としましても、節目となる「ガーデン同窓会」を実施する予定で企画を進めております。  周年事業に際しては、これまでも校友会から大学への寄付をして参りましたが、今後、そうした寄付金につきましても検討していくことになります。なお、校友会とは別に、大学からも卒業生を対象とした寄付金を募る計画があるように聞いております。校友会としては、改めて寄付を募ることはいたしませんが、ご承知おきいただきたく思います。  昨年度は、奨学金や芸術助成活動の拡充など、会員、準会員の活動支援に努めるとともに、新たな形式によるチャリティビエンナーレの実施、卒業生の訪問企画やHPの充実等に取り組んでまいりました。本年度は、10月12日(土)にガーデン同窓会の実施を計画するとともに、四美大アラムナイの幹事校として、美大4校をまとめることとなっております。  組織整備につきましても、いまだ道半ばであり、引き続き、持続可能な校友会、安心して次世代に引き継ぐことができる校友会の在り方を模索しつつ、今年度も活動を展開していきたいと考えております。  会員の皆さまのご理解とご支援を、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。                               2024年7月吉日 一般社団法人多摩美術大学校友会 代表理事 中村 一哉

【募集終了】2024年度校友会奨学金|募集要項

2024年6月18日
#校友会 #公募 #奨学金

一般社団法人多摩美術大学校友会では、学生の皆さんの制作や研究をサポートすることを目的に、2024年度校友会奨学生を募集します。⇒募集要項PDF ■応募要項応募資格制作・研究活動に熱心な多摩美術大学に在籍する学部生、大学院生※本奨学金受給経験者は応募不可(ただし、学部所属時の受給経験者は大学院所属時での応募可) ※国費留学生は応募不可給付金額200,000円(返還義務なし)給付日2024年9月10日(火)募集部門所属学科に関わらず、以下3部門から自分の研究に当てはまると思う部門を応募時に選択してください。アート部門ファインアート系の作品制作デザイン部門デザイン系の作品制作論文部門学部を論文で卒業する者、大学院にて主に論文で審査を受ける者に限る採用人数3部門合わせて、約20名(各部門応募人数の比例配分で各部門採用人数を決定)応募方法応募書類をスプレッドシートまたはイラストレーターデータで用意し、受付期間内にメールで提出してください。※応募書類の受付(メール着信)から3〜5営業日以内に、事務局より受付確認のメールをお送りします。期間内に確認メールが届かない場合は、7月20日(土)までに必ずお電話にてお問合せください。受付期間2024年7月1日(月)〜 7月15日(月)選考方法・採用通知8月上旬に選考委員による書類審査で決定し、8月末に選考結果を応募者全員に通知します。奨学生の義務・奨学生は、制作や研究の成果を校友会理事会に報告する義務があります。 ・奨学生は、9月7日 (土) に八王子キャンパスのリベラルアーツセンター1階で行われる証書授与式に必ず出席してください。その他・他者による著作物を引用する場合は、出典を適切に明示してください。 ・他者の著作権や肖像権に抵触する内容のものは審査の対象外とします。 ・形式に不備があったり、受付期間を過ぎて提出されたものは審査の対象外とします。 ・提出物は原則として返却しません。 ・提出物から個人情報を削除し、内容のみで審査を行います。 ・冊子発行の際に掲載する本文は、校友会事務局の責任編集とします。 ・奨学生の氏名や作品写真は、校友会HPなど校友会の広報物に使用する場合があります。 ・奨学生は卒業後、校友会活動に貢献することを期待します。 ■指定書式ABCDのダウンロードはこちらから(4枚の書類)⇒ スプレッドシート形式⇒ イラストレーター形式 指定書式ABCDを上記のリンクからダウンロードし、必要事項記入のうえ、イラストレーターまたはスプレッドシート形式で提出してください。校友会から受け取りのメールが届いて、受付完了となります。※指定書式Dは1枚でおさまらない場合、2枚まで増やすことができます。(1枚でも可)注意事項・ファイル名には申請者の名前を入れてください。 例)校友会太郎_指定書式.ai・イラストレーターデータの場合、画像は埋め込まずリンクで配置してください。提出時は画像含む全てのデータをフォルダに入れて、フォルダごとご提出ください。・容量の大きいものはデータを圧縮したり、「データ便」などの大容量データ送信サービスを利用してください。・応募書類内で資料が完結していること。WEBポートフォリオや動画共有プラットフォームなどに繋がるURLやQRコードの配置不可(出典引用の場合は可) ■スケジュール ■選考委員(敬称略)アート部門加藤良造、菊地武彦、古谷博子、木村剛士、馬越寿、谷口暁彦、加納豊美デザイン部門小泉雅子、武正秀治、川井由夏、岸本章、髙見真平、詫摩智朗、山下恒彦論文部門越後谷卓司、深津裕子、原美湖 ■これまでの校友会奨学金について⇒ 校友会奨学生 成果報告 ■応募先・お問合せ一般社団法人 多摩美術大学校友会事務局(多摩美術大学八王子キャンパス リベラルアーツセンター1 階21-110) [事務取扱時間]平日9:00~11:30/13:00~17:00[Tel]042-676-0802[E-Mail]info@alumni.tama-art-univ.or.jp※応募はメール受付のみ※選考に関するお問合わせには一切お答えできません。あらかじめご了承ください。

芸術活動助成2024|助成対象が決定しました!

2024年3月29日
#校友会 #助成金

選考委員会において、厳正な審査を行い、以下の37件を助成対象として採択しました。※審査の内容はお答えできませんのでご了承ください。 芸術活動助成とは、意欲的に芸術活動に取り組む正会員・準会員を応援するプログラムです。団体・個人の企画や活動に対し、助成金の給付を行っています。→詳細はこちら 個人企画 企画者名スターク栄美企画名称沈黙と春展企画分類展覧会・トークショー実施期間2024/3/24〜2024/4/13実施場所Detour/デューター(東京都) 企画者名飯田秀夫企画名称HIDEO IIDA Solo Exhibition 飯田秀夫個展企画分類展覧会実施期間2024/3/29~2024/4/14実施場所Gallery Mcube Mitra rord,Chakupat Lalitpur-10,NepalギャラリーMcube(ネパール カトマンズ) 企画者名圡方悠輝企画名称お茶の⽔⼥⼦⼤学こども園ワークショップ企画分類ワークショップ実施期間2024/4/1〜2025/3/31実施場所お茶の⽔⼥⼦⼤学こども園(東京都) 企画者名陳柏欣企画名称南国のこと企画分類展覧会実施期間2024/4/15〜2024/4/20実施場所羅針盤ギャラリー(東京都) 企画者名村上さくら企画名称展示と演劇の融合企画分類展覧会、パフォーマンス実施期間2024/5/1〜2024/5/5実施場所そっとすたじお(東京都) 企画者名金井路子企画名称金井路子展企画分類展覧会実施期間2024/7/11〜2024/7/16実施場所ヒルトピア アートスクエアー(東京都) 企画者名江上夏希企画名称江上夏希 個展企画分類展覧会実施期間2024/7/13〜2024/7/20実施場所PARK8 Gallery(東京都) 企画者名ヨウタク企画名称黒⼭⽺計画企画分類展覧会、映像上映実施期間2024/7/3〜2024/7/10実施場所多摩美術大学八王子キャンパス彫刻ギャラリー(東京都) 企画者名飯島伶圭企画名称いいじまれいか 個展(仮)企画分類展覧会実施期間2024/7/8〜2024/7/13実施場所GALLERY b.TOKYO(東京都) 企画者名吉田有希企画名称ありー個展(仮)企画分類展覧会実施期間2024/8/5~2024/9/14実施場所薬局ガレリア(東京都) 企画者名松宮うらら企画名称松宮うらら個展「ボニン」企画分類展覧会実施期間2024/10/23〜2024/10/27実施場所GALLERY IRO (東京都) 団体企画 企画者名HIHAHEHO Studio企画名称アートゲーム『Bottled Beer Go Around』企画分類イベント(ゲーム)実施期間2024/4/1〜2024/6/1実施場所ゲーム公開サイト「itch.io」にてリリース予定 企画者名सैनिका: / sainikāḥ企画名称「素敵なステーキ」制作委員会企画分類映像上映実施期間2024/4/1〜2024/7/25実施場所新文芸坐(東京都)、TANPENTON(東京都) 企画者名BOWWOW・企画名称BowWow展企画分類展覧会実施期間2024/4/17〜2024/4/21実施場所ギャラリー33(東京都) 企画者名404チャイナ展企画名称404チャイナ展企画分類展覧会実施期間2024/4/30〜2024/5/6実施場所元映画館(東京都) 企画者名yanagida AG Lab企画名称yanagida AG Lab - アルミ版研磨とリトグラフ - 展企画分類展覧会実施期間2024/5/20〜2024/5/25実施場所ギャルリー東京ユマニテ bis(東京都) 企画者名ボロボロな惑星にいる小人たち企画名称USE THEM,DOUBT THEM,AND DOMINATE THEM企画分類展覧会実施期間2024/5/21〜2024/5/26実施場所弘重ギャラリー(東京都) 企画者名劇団 逃飛行企画名称劇団 逃飛行 旗揚げ公演『舞台の上の者たちへ』企画分類公演、パフォーマンス実施期間2024/5/25〜2024/5/26実施場所cafe&bar 木星劇場(東京都) 企画者名studioJACA企画名称studioJACA新作アニメ制作企画分類映像上映、パフォーマンス、出版実施期間2024/5/末日〜2024/6/末日実施場所都内 企画者名アジア国際友好展2024企画名称アジア国際友好展2024企画分類展覧会実施期間2024/7/7〜2024/7/13実施場所美術会館青羅ギャラリー(東京都) 企画者名転転飯店企画名称転転飯店 第3回持続可能なコント公演『カルク・フィクション』企画分類公演実施期間2024/07/13~2024/07/14実施場所池袋 スタジオ空洞(東京都) 企画者名金久琴美 田川陽菜 二人展企画名称金久琴美 田川陽菜 二人展企画分類展覧会実施期間2024/7/23〜2024/7/28実施場所ギャラリーいちょうの木(東京都) 企画者名PRESS企画名称PRESS企画分類展覧会、ワークショップ実施期間2024/07/28~2024/08/04実施場所小杉画廊(神奈川県) 企画者名カナコとルルル企画名称狂気とは何か企画分類展覧会実施期間2024/8/1~2024/8/7実施場所白泉画廊(神奈川県) 企画者名劇団ネモノ会企画名称劇団ネモノ会第4回公演『ネモノニモノ〜下流で待ってて流しそうめん〜』企画分類公演、パフォーマンス実施期間2024/8/8〜2024/8/12実施場所ステージカフェ下北沢亭(東京都) 企画者名青藍紺蒼碧企画名称「青藍紺蒼碧」展企画分類展覧会実施期間2024/9/13〜2024/9/16実施場所ギャラリー小宇宙(東京都) 企画者名妖精大図鑑企画名称妖精大図鑑『魔女の一撃(仮)』企画分類公演実施期間2024/9/22〜2024/9/23実施場所神楽坂セッションハウス(東京都) 企画者名projecttiyo企画名称『手のひらの町、夜更かしの王様』企画分類公演、パフォーマンス実施期間2024/10/18〜2024/10/22実施場所カフェ ムリウイ(東京都) 企画者名出版幽霊部員企画名称出版幽霊部員 展覧会(仮)企画分類展覧会実施期間2024/11/30〜2024/12/15実施場所々 noma(東京都) 企画者名多摩さつき会展(多摩教育の会役員会有志)企画名称第6回 多摩さつき会展企画分類展覧会実施期間2024/4/30〜2024/5/5実施場所ギャラリーコンセプト21(東京都) 企画者名千葉多摩美会企画名称第27回千葉多摩美会展企画分類展覧会実施期間2024/6/12〜2024/6/16実施場所千葉県立美術館(千葉県) 企画者名新潟摩美会企画名称第16回新潟多摩美展企画分類展覧会実施期間2024/6/15〜2024/6/23実施場所新潟市美術館市民ギャラリー(新潟県) 企画者名広島多摩美会企画名称2024広島多摩美会展企画分類展覧会実施期間2024/6/18〜2024/6/23実施場所ギャラリーG(広島県) 企画者名ニューヨーククラブ企画名称Home Away From Home XX 企画分類展覧会、講評会実施期間2024/9/19〜2024/10/2実施場所Tenri Gallery(ニューヨーク) 企画者名AsianShip企画名称AsianShip vol.2企画分類展覧会実施期間2024/11/3〜2024/11/13実施場所Hideharu Fukasaku Museum(神奈川県) 企画者名多摩美愛知の会企画名称第18回多摩美愛知の会展企画分類展覧会実施期間2024/11/5〜2024/11/10実施場所ギャラリーブランカ(愛知県) 企画者名多摩美TD卒業生の会企画名称多摩美パフォーマンス研究会45周年記念出版企画分類出版実施期間2024/12〜2025/2

【特集記事】第3回 卒業生の職場訪問 阿部智史さん×吉田圭さん(電通デジタル)vol.1

2024年3月15日

「世の中をちょっと良くする」を模索する、 ふたりが考えるクリエイティビティ。 多摩美OBが活躍する「電通デジタル」を訪問! 総合デジタルファーム・電通デジタルに在籍し、コンサルティングや新規サービス提案に奔走する多摩美OB阿部智史さん(右)と吉田圭さん(左)。「社会をよりよくしたい」と口を揃えるふたりの対談を全4回で配信。在学時のエピソードから卒業後の進路、そして現在の仕事まで、それぞれの視点から美大生が獲得でき得るキャリアの広がりについて聞かせてくれた。 阿部智史(Satoshi Abe) 多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報アートコースを卒業し、レコードショップに勤めたのち、デジタルの世界へ。電通デジタル入社後は、顧客基点によるマーケティングDXの推進業務に従事し、マーケティング戦略策定、組織変革支援などのコンサルティングから、システム導入、アプリ開発といった基盤・施策領域の実行まで、デジタルを活用したビジネス変革を幅広く支援。カスタマーサクセスをテーマに、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化するためのソリューション開発に尽力する。 吉田圭(Kei Yoshida) 多摩美術大学美術学部2部デザイン学科ビジュアルコミュニケーションデザインコース卒業。在学中よりプロダクションでWEBサイトのデザイン・設計・開発業務に従事。2014年より電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)に合流し、サイト構築、プロモーション設計、コミュニケーション設計、顧客体験設計など、幅広い業界でプロジェクトの戦略立案、設計などに携わる。事業開発プロジェクトを得意とし、現在は家電ブランドの2030顧客接点の未来を構想するプロジェクトを推進中。 https://youtu.be/L__GCSLXYvg?si=uMim-5zTn2WMfeom 紆余曲折。 吉田:阿部さん、よろしくお願いします。この企画、美大卒で“美大卒”っぽくないお仕事をしている人に、話を聞かせていただいているというシリーズになります。 阿部:はい、なるほど。確かに、僕らの仕事は“美大卒”っぽくないと思われるかもしれませんね。 吉田:ということで、まずは僕から改めて自己紹介をしますね。多摩美術大学美術学部二部デザイン学科ビジュアルコミュニケーションデザインコース、通称「ビジュアル」卒業。いわゆるグラフィックというよりも、情報デザインの要素を含んだデザインを学ぶコースを卒業しました。 阿部:僕は多摩美術大学美術学部 情報デザイン学科情報アートコース卒になります。確か、僕が入学する数年前に創設された新設の科でした。油絵やグラフィックのように、どういう技術を使い、どう表現していくのか、などを突き詰めるというより、既存のファインアートに収まらないないところをやっていた気がします。僕の先輩は、なぜかはわからないけれど、畑を耕していました(笑)。「何を学ぶのかを考える」というような実験的な場所だったと思います。 吉田:僕が在籍したコースで特に有名な教授は「非常口」のサインをデザインした方。上野毛キャンパスのアイコンみたいな方でした。 阿部:へえ。 阿部智史さん 吉田:非常口のサインって昔は緑の細長に真ん中に人のマークがあって、左右に矢印などが配置されていたと思うんですけど、その教授は当初から現在のカタチ(矢印のみ)にするのが理想だとゴールを掲げていたんですって。 阿部:美観を損なわないように、ということを考えていらっしゃった。 吉田:緑の矢印の先に非常口。それを国際基準にということを最初から考えていたらしいです。 阿部:いま、ふと渋谷駅を思いました。新しい建物ばかりで綺麗なんですけれど、恐らく駅の職員さんが作ったであろう「こっち」っていう矢印があちこちに貼ってあるんです。仕方なくやられていると思うのですが、体験がいきなり断絶してしまうような感覚が僕にはずっとありました。おそらく「非常口」のサインのように、環境として機能として考えてデザインされているものだとそれが起こらないですね。 吉田:高速道路にあるカーブの植栽デザインなどもされていたそうです。方向性がわかるような花とか植物の植え方をして、カーブと認識させる。 吉田圭さん 吉田:僕らが学生のころに憧れるデザインって、ポスターなどの派手なモノでしたけれど、その先生は意識させないけれど必然的に機能する情報を含んだデザインをされていらっしゃいました。今になると、スゲーってことがよりよく分かります。 阿部:こんなことを言ってはアレですが、僕、学生時代って実はあまり勉強していなくて…。 吉田:僕も同じく。学生の頃はとくに「グラフィックデザイナー」になりたい願望が強くて。学校に行かずにプロダクションでグラフィックデザイナーのアシスタントデザインをしていました。もう、会社員のように朝9時から夕方5時まで。 阿部:ちゃんと勉強しておけば良かったって思いますよね。 吉田:ほんと勉強した方がいい。勿体無い。 OB訪問に参加された多摩美術大学在学生のお二人 阿部:僕は音楽に夢中になっていました。1、2年生の頃はまだ真面目に学校にも通っていたのですが、3年生くらいの時に「アートとかしゃらくせえ!これじゃ何も変わらないだろ!」みたいなモードになって(笑)。 吉田:就活、しましたか? 阿部:あまりせず、です。通っていた渋谷のレコード屋さんで卒業後そのまま働き始めました。完全にその日暮らし。楽しければいいや、くらいの感じでしたね。吉田さんは? 吉田:僕もそのままって思っていたんですけれど、師匠がそうさせてくれなくて。それに、その頃から薄々グラフィックデザインの道は自分には難しいとも感じちゃっていたんです。 阿部:それはなぜです? 吉田:師匠、その頃30代前半だったと思うんですけれど、めちゃめちゃ感度が高くて。毎日のように本屋に行くし、ネット黎明期にもかかわらずコンテンツにも詳しくて。そこまでの方でも、その人は名だたるグラフィックデザイナーだったわけでもない。「ここまでやってもか」って思っちゃったんです。それで、テレビが好きだったり企画することが好きだったりしてテレビ局を受けました。でも、落ちました。なので、しばらくはフリーランスのような感じでした。 阿部:僕が働いていたレコード屋は商社のような側面もありましたので、カッコよくいうと輸入業でもありました。とはいえ僕は配送や店番も何でもやりました。 吉田:小売業を経て、互いに今はデジタルの世界。色々ありますね。 阿部:僕らの学生の頃ってインターネット黎明期。確か、IE5とかでしたよね。それでも当時から僕はインターネットにめちゃくちゃ魅力を感じていました。今までできなかったことができるようになったり、知らなかったことを知れるようになったり。もともとデジタルとかネットとかは大好きでした。 吉田:けれど、音楽の魅力がその魅力に優っていた。 阿部:というより、手に職もないし、音楽が近くにある生活を楽しく送ることができればいい、くらいに考えていたんです。今につながる部分でいうと、レコード屋で最後に任されていたのは、通販サイトでした。WEBの企画を考えたり、アクセス解析したりというのは、そこで初めて触れました。数字から読み取れる何かをバイヤーの人にアドバイスするっていうのは面白かったですね。 吉田:EC担当のようなことをされていたんですね。 阿部:で、転機が唐突に訪れるんですけれど、当時だんだんと音楽がレコードからデジタルに移行していくタイミングで。それでレコードが売れなくなり、勤めていたレコード屋が倒産。いつも通り会社に行ったら営業部長が立っていて「すまん、今日で解散です!」みたいな。その光景は今でも覚えています。 吉田:ははは、なかなかインパクトがありますね。 vol.2 〜「デジタルの世界へ。」はこちら

【特集記事】第2回 卒業生の職場訪問 新城宏明さん(BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN)vol.1

2023年7月13日

「建築士として空間のポテンシャルを見出し、より高める」 多摩美OB主宰の「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を訪問! 神奈川県三浦市にあるシェアスペース「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を運営する一級建築士・新城宏明。新城自身が設計デザインした「BAYSIDE SHARE」は、三浦半島のクリエイターやフリーランサーが行き交う“オモシロい人々のるつぼ”となりつつある。今回、取材陣は2021年4月にオープンした「BAYSIDE SHARE」を訪問した。 新城 宏明(Hiroaki Arashiro) 一級建築士、建築デザイナー。ボリビア生まれ、横浜育ち。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科スペースコミュニケーションコース卒業。建築の専門学校を卒業し、造作大工として活動した後、3年次編入で多摩美に入学。空間デザインを専攻し、デザインに対する美意識を高める。現在は神奈川県三浦海岸でシェアスペース「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を主宰。自然豊かな環境を拠点とし、クリエイティブの力で街の活性化を企む。 https://youtu.be/InW_dJd8aDI 海沿いのシェアスペース 「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」は2021年4月に誕生した海を望むカフェ&コワーキングスペース。運営するのは、多摩美OBの一級建築士・新城宏明だ。 建築の専門学校を卒業して造作大工として経験を重ねていくうち、「もっと美意識を高めたい」と多摩美のデザイン学科(空間系)に編入した新城。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科スペースコミュニケーションコースを卒業後、数年の設計事務所勤務を経て設計士として独立した。 「独立した当時、僕自身がコワーキングスペースでよく作業をしていました。主に都心のコワーキングを利用していましたが、『海沿いなどのロケーションの良いところでテレワークできたらいいな』と漠然と思っていました。 けれど、そういう場所を探してみるとなかなかないんです。コロナ禍にテレワークが世の中に浸透すると、『自然豊かな環境に移住する方も増えるだろう』ということを予測し、作った場所がコワーキングスペースやカフェ、自分の設計事務所などが入る複合施設『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』です。海沿いに作ろうと、海沿いの物件探しから始めました」 デザイナーやクリエイターが自由に集まることができたり、一緒にもの作りをしたりできるクリエイティブコミュニティースペースを作るというのは、新城の多摩美学生時代からの夢だったという。 建築士として、空間のポテンシャルを見出す 物件探しはGOOGLE MAPのストリートビューで。 「名古屋の方から神奈川の海沿いまで、すごく広い範囲で検索しました。ずっと、海を見ずに反対側の建物ばかりを見ていると、正面に海を臨む物件に賃貸看板が掲げられているのが目に留まり、すぐに問い合わせました。内見をして、ほぼ即決でした」 『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』は、もともと漁業組合の事務所兼倉庫として利用されていた鉄筋コンクリート造の建物をリノベーションした空間。新城自身が設計デザインを担当している。 「もともとは海側の窓がすりガラスだったので、そこが抜けたら海を一望できるな、とフィックスガラスにすることを最初に考えました。働きながら、海を眺められるという環境をどうしても作りたかったんです。窓を交換させてほしいこと、新たにウッドデッキを作らせてほしいことなどを交渉し、カフェやワークスペースのレイアウトを決めていきました。これほどの広さがあって、海を目の前に臨む絶好のロケーション。ここを見つけた時は、建築士としてこの場の価値を見出した気がしました。 そこからは空間のポテンシャルを上手に活かすのがキモです。建物をすべてスケルトンにして空間を再構築。内装は予算をかけずにラフな仕上げとし、あらわにした躯体を活かすようなデザインにしました。カフェスペースは白い壁、コワーキングスペースはグレーを採用し、光の反射が作業を邪魔しないように考えています」 コワーキングスペースには海を望める席があるほか、仕事の合間にくつろげる小上がりの和室空間や、オンライン会議のほか、メイクアップスペースとしての利用実績もあるという個室が備わる。 「僕は大工経験もある人間なので、図面を引くだけでなく自分の手を動かしてものを作るのも好き。設計をする上でも、手作りできる要素を必ず取り入れています。『BAYSIDE SHARE』でいえば、テーブル。このテーブルは杉の一枚板をバーナーで炙って炭化させ、樹脂コーティングを施してデザイン性をもたせました。やっぱり、自分で好きなように作るのは楽しいです」 人のつながりが、新たなクリエイティブを作る 『BAYSIDE SHARE』は新城自身が都心でシェアオフィスを利用していた経験を基盤とした、リアルなライフスタイルイメージが空間を構成。仕事、軽食とコーヒー、そして仕事終わりのアルコール。オープンして2年、常連同士の協働も生まれはじめている。 「オフィスとカフェ、夜はバー。個人的には理想的な環境を創り上げることができたと思っています。オニバスコーヒーの豆で入れた美味しいカフェラテを飲みながら仕事をして、疲れたら浜辺を散歩して、夕焼けの頃にはデッキでビールを飲みながら、良い気分で一日の仕事を終える。その後はバー営業に切り替わったカフェスペースでコミュニティーの輪を広げる…。都心でのスタイルにあるような、ワークライフスタイルを『BAYSIDE SHARE』でも可能にしています。ようやく地元の人の利用も増え、『BAYSIDE SHARE』は目立つ存在になってきてきたかな。 人が集まる場の面白さというのは、僕が多摩美の学生時代から感じていたことです。いろんな人が関わってくれることで、学園祭みたいに楽しみながらものづくりができると思うんですよね。いろんな個性を持った人たちが集まって、みんな自分にできる分野で力を発揮する。そういうのは将来的に街の活性化につながると考えています。 三浦海岸はこれからどんどん面白くなっていくと思う。今年の夏は3年ぶりに花火大会も開催される予定ですし、海の家も新しくなります。僕にとってもチャンスですよね。街が動き出そうとしている時だから、僕も積極的に関与していきたい。シェアオフィサーとして場所や機会を作ることはもちろん、建築士としてもできることはたくさんあると思います。」 「エリアリノベーション」という言葉を掲げ、場づくり、きっかけづくり、そしてあらゆる出会いによるクリエイティブな化学変化を探る新城。美大卒、そして設計士・建築士でありながら、シェアオフィサー。いくつもの肩書きをホッピングして自身の役割を広げる彼のような人物こそ街を目覚めさせる起爆剤となるのだろう。 『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』。ひとつの建物の存在が、街の様子を大きく変えるかもしれない。 vol.2 〜「美大生時代のような、「楽しい」の感覚を追求する今。三浦海岸にシェアスペースを拓いた、建築士・新城宏明の胸の内。<前編>」〜

【特集記事】第1回 卒業生の職場訪問 山口範友樹さん(KLAMP STUDIO)

2022年12月16日

世界的フィギュア原型師・山口範友樹氏のスタジオを訪問! 『ONE PIECE』や『進撃の巨人』、『ドラゴンボール』といった超人気作品から数々の名作フィギュアを生み出してきた原型師・山口範友樹氏。造形美を評価する造形フィギュアの世界大会での優勝や、アーティストとのコラボ作品の発表など、名実ともにトップ原型師として注目を集めている。今回「フィギュアが大好きで、卒業後はフィギュア関係の仕事を志望している」という多摩美の学生が、制作現場(KLAMP STUDIO)を訪問。山口氏が原型師を目指したきっかけや、原型師の仕事内容の解説やこだわりなど、フィギュア制作のお話をたっぷり聞かせてくれた。 山口範友樹(Yamaguchi Noriyuki)原型師。1978年、東京都生まれ。多摩美術大学美術学部二部デザイン学科ヴィジュアルコミュニケーションデザインコース卒業。在学中に原型師・澤田圭介氏に出会い、弟子入り。造型・原型制作、造型に対する考えを学び、現在は玩具メーカー内の造型室「KLAMP STUDIO(クランプスタジオ)」を主宰。フィギュアの造形バトル「造形王頂上決戦」連覇の実績を持つほか、海外のアート展にも作品を出展。国内外問わず活躍の場を広げている。 https://www.youtube.com/embed/o5zsXMg2lC4 「原型師という仕事について」 「僕らの仕事は、マンガやアニメなどの二次元を立体化するというもの。フィギュアのデザインから彩色まで、原型制作をひとしきり行います。それに付随するパッケージの企画を行うこともあります。」 視覚デザイン学科の学生だった山口氏は、フィギュア制作に携わり始めた頃、造形に関する知識はほぼゼロ。原型師になるために、「すべての優先事項は原型師になること」としていたという。 「自分の場合、もともとフィギュアが大好きだったわけではないんです。たまたま大学4年生の時に素晴らしい師匠に出会い、原型師という仕事を知りました。原型師になったきっかけは、師匠の“モノで人を黙らす仕事”に感銘を受けたから。自分にとっては震えるほどの衝撃的な出会いで、原型師になると決めました。そこから一人前になるのに、10年くらいかかったかな」 フィギュア造形の世界バトル「造形王頂上決戦」にて連覇の実績を持ち、「世界で最も『ONE PIECE』フィギュアの制作に長けている」ことを自認する他、オリジナル作品をアート展へ出品することも。今や業界のトップランナーである。 「最先端テクノロジーと手技で作る」 造形室KLAMP STUDIOは、デジタル技術を積極的に取り入れている。仏像などの文化財のデータ採取にも使用するという超高精度な3Dスキャナーや、画面上で立体を作るヘラタブなど、最先端のテクノロジーをこれほど備えた造形スタジオは珍しい。 「これがヘラタブで操作するフリーフォーム、もともと医療用のシミュレーションマシンとして開発されたものです。立体の造形作業をデジタル上で処理でき、画面の3Dオブジェクトをなぞると触った感覚があるのがこのツールの面白いところです。原型を手で作る方法との一番の違いは“コマンドZ”ができること、粘土などの造形だと一度削ったり、形を変えると、そう簡単に元に戻せないですからね。迷うことなく大胆に手を動かせるこのスピード感がデジタルツールの革新的な機能です。僕はデジタル大好き。けれど基本は手を使うアナログ派です。アナログもデジタルも両方良さがある。要は使い方を工夫することが大事です」 「感性より努力。仕事だし」 スタジオの2階はアナログな作業をするスペース。デジタルで出力した立体も、仕上げは原型師がそれぞれの手技を駆使して行なっている。 「造形のやり方は彫刻のように掘ることもあれば、粘土で肉付けし形作っていくやり方もある。またメカっぽい角ばったものを作る場合はデジタルでの作業がやりやすく、布や筋肉の丸みを帯びた臨場感を出す場合は、手作業の方が適しているかもしれません。ただ、どういう手法で作業するかは原型師次第ですね。 僕のスタジオでは基本的にスタイルを作らない。スタイルを作ると仕事として困ることが多くなりますから。僕らが作っているのは『アート作品』ではなく『製品』であり、 量産が前提です。作品として1点ものを作るのであれば、とことん造形のみにこだわることができるのかもしれませんが、僕らが作っているのは何万個と流通する製品の原型。ですから、すべて同じクオリティで仕上がってくるようにすることを考えます。商品としてどれだけたくさんの人に喜んでもらえるものにできるかどうか。それが僕ら原型師の仕事の魅せどころです。」 原型師たちは皆、一枚の絵からどのように立体としての説得力を入れていくか、想像を巡らせ考える。そこに表現力の差が出るのだという。 「例えばフィギュアには、キャラクターが着ている服にシワがあります。そのシワの表現にもトレンドがあるんです。こういったトレンドを見極めるのも勉強。たくさんものを見て、インプットを重ねることで気づけるようになります。なんにせよまずは、感性より努力ですね。それが原型師」 「コミュニケーションで仕上がりが変わる」 KLAMP STUDIO 2階の複製室は、大手玩具メーカーも見学に訪れる場所なのだそう。複製は、彩色サンプル用の原型のための工程。シリコンで出来上がった原型の型を取って複製し、それに色をつけていく。 「赤は赤でも無限に色があるので、調合して表現の目的に合った赤にします。バトルシーンだから少しくすませようとか、象徴的な立ち姿だから彩度を上げようとか、シーンを考えながら色を仕上げます。色をつけたら原型が完成です。平面から立体に起こし、最後に色をつけるところまで、全部このスタジオで完結させることができます。 僕は知らないキャラクターのフィギュア制作を依頼されたら、そのマンガを読むことはもちろん、好きな人たちがどういう思いで作品を楽しんでいるかを友人や知人にヒアリングします。なぜなら、それを知ることでフィギュアの表情もポーズも彩色も変わってくるから。そのためにはやはりコミュニケーションが大事です。」 「100人いれば、100人がほしいと思うフィギュアを作る」 「例えば『ONE PIECE』のルフィなら、100人のうち100人がほしいと思うルフィを僕は作る。そのためには世間では何が流行っているかとか、みんなはどういうことを思っているかを知ろうとする行動が不可欠。『俺のルフィを作ってやるぞ』とは微塵も思っていないし、そもそもそれでは仕事にならない。少なくとも僕ら原型師の仕事とは違う。“作家”として生きていくのではなく、“仕事”としてモノづくりに携わる以上、コミュニケーション能力はめちゃくちゃ重要だと思います」 スタジオ見学も終盤。玩具メーカーやフィギュア制作に興味のある学生たちから「学生時代に身につけておくといいことは何か」と質問が投げかけられた。 「技術や知識的なアドバンテージがあることよりも、人に何かを伝えようと努力する姿勢だと思う。つまり、見る人のことを考えられるかどうか。格好よく見せるための努力と、見る人がどう思うかを考え続けること。それが良いフィギュアの原型を作るためにも、一般的な就活の上でも、共通して重要なことだと思います。加えて、ちゃんと自分がやりたいことをアピールできることも大切。やりたいことにどれだけ優先順位をおいて、どういうつもりで向き合っているのか。僕はそれが感じられるポートフォリオがあれば、お! と手が止まりますよ」 最後に、これまでの中でもっとも技術と時間を要した仕事を語る。 「このフィギュアは友人でもあるアーティスト花井祐介くんと制作したもの。花井くんの絵を僕が立体にしました。例えば『ONE PIECE』のエースって服とか髪型とか、複雑でフィギュア制作も大変そうに見えると思うんだよね。けど、情報が多くあるものを情報通りに作るのは、技術さえ身につけば出来るようになる。正解があるんだから。一方でシンプルな二次元を立体にしたり、見た通りではないものを作ったり、技術に加えて想像力・感覚の部分を求められる仕事というのは、また一段と難しい。そして、楽しいです」 デジタルとアナログの両方を使いこなし、「欲しい!」と思わせるフィギュアの原型を次々とスピーディーに仕上げていく『KLAMP STUDIO』の山口氏。「アート作品ではなく製品づくりをしている」と言い切る彼と、最新鋭のツールを揃えたスタジオの様子から、「世の中の声に即したものづくりを徹底して追求し続ける」という、プロフェッショナルの心意気を窺うことができた。 一方で制作現場の雰囲気は柔らかく、“職人=固い気質”というイメージからはかけ離れている。「技術よりコミュニケーション」と学生らに語る山口氏の思想は、彼が指揮を執る『KLAMP STUDIO』内部にも浸透しているのだろう。 ビジネスの視点を持ち合わせながら、それだけではない。ものづくりを楽しむスタンスには学びが多くあった。原型師が違えばまったく違う表現になると改めて認識した今、フィギュアの見方・楽しみ方も変わりそうだ。 Netflix『Stranger Things』シーズン4公開記念フィギュア“COFFEE AND CONTEMPLATION”の制作秘話についての対談記事はこちらから。 https://www.youtube.com/embed/3Oy26tX7ASU

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