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【特集記事】第2回 卒業生の職場訪問 新城宏明さん(BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN)vol.1

2023年7月13日

「建築士として空間のポテンシャルを見出し、より高める」 多摩美OB主宰の「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を訪問! 神奈川県三浦市にあるシェアスペース「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を運営する一級建築士・新城宏明。新城自身が設計デザインした「BAYSIDE SHARE」は、三浦半島のクリエイターやフリーランサーが行き交う“オモシロい人々のるつぼ”となりつつある。今回、取材陣は2021年4月にオープンした「BAYSIDE SHARE」を訪問した。 新城 宏明(Hiroaki Arashiro) 一級建築士、建築デザイナー。ボリビア生まれ、横浜育ち。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科スペースコミュニケーションコース卒業。建築の専門学校を卒業し、造作大工として活動した後、3年次編入で多摩美に入学。空間デザインを専攻し、デザインに対する美意識を高める。現在は神奈川県三浦海岸でシェアスペース「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」を主宰。自然豊かな環境を拠点とし、クリエイティブの力で街の活性化を企む。 https://youtu.be/InW_dJd8aDI 海沿いのシェアスペース 「BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN」は2021年4月に誕生した海を望むカフェ&コワーキングスペース。運営するのは、多摩美OBの一級建築士・新城宏明だ。 建築の専門学校を卒業して造作大工として経験を重ねていくうち、「もっと美意識を高めたい」と多摩美のデザイン学科(空間系)に編入した新城。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科スペースコミュニケーションコースを卒業後、数年の設計事務所勤務を経て設計士として独立した。 「独立した当時、僕自身がコワーキングスペースでよく作業をしていました。主に都心のコワーキングを利用していましたが、『海沿いなどのロケーションの良いところでテレワークできたらいいな』と漠然と思っていました。 けれど、そういう場所を探してみるとなかなかないんです。コロナ禍にテレワークが世の中に浸透すると、『自然豊かな環境に移住する方も増えるだろう』ということを予測し、作った場所がコワーキングスペースやカフェ、自分の設計事務所などが入る複合施設『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』です。海沿いに作ろうと、海沿いの物件探しから始めました」 デザイナーやクリエイターが自由に集まることができたり、一緒にもの作りをしたりできるクリエイティブコミュニティースペースを作るというのは、新城の多摩美学生時代からの夢だったという。 建築士として、空間のポテンシャルを見出す 物件探しはGOOGLE MAPのストリートビューで。 「名古屋の方から神奈川の海沿いまで、すごく広い範囲で検索しました。ずっと、海を見ずに反対側の建物ばかりを見ていると、正面に海を臨む物件に賃貸看板が掲げられているのが目に留まり、すぐに問い合わせました。内見をして、ほぼ即決でした」 『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』は、もともと漁業組合の事務所兼倉庫として利用されていた鉄筋コンクリート造の建物をリノベーションした空間。新城自身が設計デザインを担当している。 「もともとは海側の窓がすりガラスだったので、そこが抜けたら海を一望できるな、とフィックスガラスにすることを最初に考えました。働きながら、海を眺められるという環境をどうしても作りたかったんです。窓を交換させてほしいこと、新たにウッドデッキを作らせてほしいことなどを交渉し、カフェやワークスペースのレイアウトを決めていきました。これほどの広さがあって、海を目の前に臨む絶好のロケーション。ここを見つけた時は、建築士としてこの場の価値を見出した気がしました。 そこからは空間のポテンシャルを上手に活かすのがキモです。建物をすべてスケルトンにして空間を再構築。内装は予算をかけずにラフな仕上げとし、あらわにした躯体を活かすようなデザインにしました。カフェスペースは白い壁、コワーキングスペースはグレーを採用し、光の反射が作業を邪魔しないように考えています」 コワーキングスペースには海を望める席があるほか、仕事の合間にくつろげる小上がりの和室空間や、オンライン会議のほか、メイクアップスペースとしての利用実績もあるという個室が備わる。 「僕は大工経験もある人間なので、図面を引くだけでなく自分の手を動かしてものを作るのも好き。設計をする上でも、手作りできる要素を必ず取り入れています。『BAYSIDE SHARE』でいえば、テーブル。このテーブルは杉の一枚板をバーナーで炙って炭化させ、樹脂コーティングを施してデザイン性をもたせました。やっぱり、自分で好きなように作るのは楽しいです」 人のつながりが、新たなクリエイティブを作る 『BAYSIDE SHARE』は新城自身が都心でシェアオフィスを利用していた経験を基盤とした、リアルなライフスタイルイメージが空間を構成。仕事、軽食とコーヒー、そして仕事終わりのアルコール。オープンして2年、常連同士の協働も生まれはじめている。 「オフィスとカフェ、夜はバー。個人的には理想的な環境を創り上げることができたと思っています。オニバスコーヒーの豆で入れた美味しいカフェラテを飲みながら仕事をして、疲れたら浜辺を散歩して、夕焼けの頃にはデッキでビールを飲みながら、良い気分で一日の仕事を終える。その後はバー営業に切り替わったカフェスペースでコミュニティーの輪を広げる…。都心でのスタイルにあるような、ワークライフスタイルを『BAYSIDE SHARE』でも可能にしています。ようやく地元の人の利用も増え、『BAYSIDE SHARE』は目立つ存在になってきてきたかな。 人が集まる場の面白さというのは、僕が多摩美の学生時代から感じていたことです。いろんな人が関わってくれることで、学園祭みたいに楽しみながらものづくりができると思うんですよね。いろんな個性を持った人たちが集まって、みんな自分にできる分野で力を発揮する。そういうのは将来的に街の活性化につながると考えています。 三浦海岸はこれからどんどん面白くなっていくと思う。今年の夏は3年ぶりに花火大会も開催される予定ですし、海の家も新しくなります。僕にとってもチャンスですよね。街が動き出そうとしている時だから、僕も積極的に関与していきたい。シェアオフィサーとして場所や機会を作ることはもちろん、建築士としてもできることはたくさんあると思います。」 「エリアリノベーション」という言葉を掲げ、場づくり、きっかけづくり、そしてあらゆる出会いによるクリエイティブな化学変化を探る新城。美大卒、そして設計士・建築士でありながら、シェアオフィサー。いくつもの肩書きをホッピングして自身の役割を広げる彼のような人物こそ街を目覚めさせる起爆剤となるのだろう。 『BAYSIDE SHARE MIURAKAIGAN』。ひとつの建物の存在が、街の様子を大きく変えるかもしれない。 vol.2 〜「美大生時代のような、「楽しい」の感覚を追求する今。三浦海岸にシェアスペースを拓いた、建築士・新城宏明の胸の内。<前編>」〜

テキスタイルアートミニアチュール8 百花百響

2023年7月12日
#展覧会

出品者石森 晴菜(2018年 大学院修了)弥永 保子(1971年 美術学部卒)大竹 夏紀(2008年 大学院修了)岡本 汐加(2013年 美術学部卒)樫尾 聡美(2010年 大学院修了)鬼原 美希(2012年 大学院修了)栗田 融(1990年 美術学部卒)タカハシ ノリコ(2018年 大学院修了)田中 孝明(1995年 大学院修了)椿 操 (1965年 美術学部卒)寺村 サチコ (2012年 大学院修了)中川 るな(1993年 大学院修了)長沢 桂一(1999年 大学院修了)藤井 尚子(1995年 大学院修了)三尾 瑠璃(2016年 美術学部卒)宮坂 省吾(1993年 美術学部卒)柳下 恵(2016年 大学院修了)わたなべ ひろこ(1957年 美術学部卒)ほか日程2023年7月21日(金)~2023年7月29日(土)時間11:00~19:00(最終日17:00まで)場所Gallery5610東京都港区南青山5-6-10 5610番館主催テキスタイルアート・ミニアチュール展実行委員会後援金沢市・日本建築美術工芸協会助成金沢美術工芸大学協賛株式会社田中直染料店問合せテキスタイルアート・ミニアチュール展実行委員会mail: g.emikonakano@gmail.com繊維素材を中心に「染める」「織る」「編む」「組む」「縫う」等の技法をベースに創作表現を行うテキスタイルアート・ミニアチュール展は8回目となります。素材と対話しながらイメージをふくらませ、それぞれの手と感性による独自技法で作者の世界を具体化させる、そこに生まれる表現は多様です。今回のテーマは「響」。現在活躍中のアーティスト100名が20×20×20cmという限られた空間に、従来のスタイルを超えた響きあう空間を展開します。その響がご覧いただく皆様にも、さらに広がることを期待します。今回は東京、金沢の2ヵ所で開催いたします。この展覧会がテキスタイルアートの更なる発展につながることを願っています。

グレー色のピンク

2023年7月5日
#展覧会

出品者高橋ヨシ(2020年 美術学部卒)ありー(2022年 美術学部卒)太田幾(大学院 在学生)ほか日程2023年7月11日(火)~2023年7月23日(日)時間13:00~19:00休廊日水曜場所PARK8 Gallery東京都八王子市台町3-1-1 ~「グレー色のピンク」に寄せて~本展覧会は、「あいだ」「流れ」「グレー」をテーマとしています。高橋ヨシは、あいまいなもの、天使、風景などをモチーフにして、グレートーンや白を使った画面の絵画を制作。ありーは、主に油彩、インスタレーションを制作。約束、告白、名付けなどをテーマに絵を描いています。展覧会コンセプトの単語からは、人と人/目と目の間の言葉、曇りの日、地面は揺れること、選択という言葉が思い浮かびます。今回は、メンバーの雰囲気と、コンセプトとと、PARC8の場から、地面をテーマにしました。吉野叶音は、音楽から影響を受け、制作をしています。今回の展示は、Procol Harumの「Grand Hotel」というアルバムから受け取ったイメージを中心に構成していて、これらの作品は「砂浜でピアスを探すようなもの」です。太田幾呼吸するように絵を描きたい。描くことは、生きることそのもの。刻一刻と変わるその瞬間の温度、空気に合わせて、支持体や素材を選んで、絵を描いている。※あいだ誰かと誰かを繋ぐ空気、温度、色、気配、音。目に見えるより、肌で感じる確かなもの。

ホリグチシンゴ EYE-BALL ADVENTURE part2

2023年6月27日
#展覧会

出品者ホリグチシンゴ(2018年 大学院修了)日程2023年7月7日(金)~2023年7月18日(火)時間11:00~18:00(最終日は17:00まで)7月8日(土)、15日(土)は19:00まで休廊日水曜、木曜場所柳沢画廊さいたま市浦和区高砂2-14-16 柳沢画廊2-3F 048-822-2712このたびGalleryPepinは柳沢画廊を会場として、2023/7/7㈮より「ホリグチシンゴ EYE-BALLADVENTUREpart2」を開催致します。ホリグチは京都市出身、2018年に多摩美術大学修士課程日本画研究領域を修了、その後は日本画の領域を越えた視点と 「コントロールできない部分=現象」と「作為」を積み重ねるというオリジナルの制作プロセスでバージョンアップを続け、注目を集めています。  今展では、ホリグチ作品のイメージである「ドット」や「箱を積み重ねた」シリーズと共に、今年4月の個展で発表したドローイング「未題/Untitled」 シリーズの新作を中心に約30点を展示予定です。目指すのは、表現の完結ではなくバージョンアップし続けた先に見える誰も作ったことがないものを生み出すこと。とホリグチは語ります。既存のファンの方にも、初見の方にも(埼玉初個展)、ホリグチ作品を堪能頂ける会場構成になっております。ご来廊のほど、宜しくお願い申し上げます。

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