英隆行 写真展「悠久のロックアート――サハラ砂漠先史岩壁画」
●アートとデザインの人類学研究所(IAAD)から、展覧会および公開シンポジウムのお知らせです。 日程2024年9月20日(金)~10月5日(土)会場1多摩美術大学八王子キャンパス 図書館アーケードギャラリー東京都八王子市鑓水2-17239:00~20:00(土曜日 17:00)会場2アートとデザインの人類学研究所東京都八王子市鑓水2-172310:00~17:00主催多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所共催多摩美術大学情報デザイン学科監修港 千尋後援日本アルジェリア協会・アフリカ協会協力フランス国立自然史博物館WEBIAAD公式サイト ■ 展覧会概要 このたび多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所は、写真家・英隆行氏(1952–)が撮影し、昨年度寄贈を受けたサハラ砂漠の先史岩壁画の写真展を開催します。サハラはアフリカ北部のモロッコからエジプトに広がる世界最大の砂漠ですが、およそ1万年以上前から5千年前頃にかけて、広大な緑に覆われていました。動植物が豊かな生態系をつくる土地には、周辺からさまざまな人間集団が到来し、岩肌に幾多の驚くべき絵を描いたのです。 岩絵具を使った彩色画や直接岩に刻んだ線刻画は、ラスコーやアルタミラなどで知られるヨーロッパの洞窟壁画と技法は共通していますが、洞窟壁画の主役は動物で人間はあまり出てきません。ところがサハラ砂漠の岩壁画には動物ばかりでなく人間が多く登場します。生活の様子だけでなく、信仰や神話を思わせる想像上の光景も描かれて、当時の人びとの精神世界を窺うことができます。 撮影地は、アルジェリアのタッシリ・ナジェールをはじめ、チャドのエネディ、スーダンのウェイナット、エジプトのギルフ・ケビールなど広範囲にわたりますが、現在は治安上の問題や当事国の規制などで、入域が困難な地域が多く含まれています。欧米の研究者や愛好家と組織した調査隊で撮影され、またフランス国立自然史博物館・人類学博物館との共同研究としても国際的に認められた優れた成果でもあります。 超高精細な画像はすべて実物大にプリントされており、考古学的・人類学的に貴重な記録であると同時に、高度な技術を駆使した写真作品としてもアーティストやデザイナーの想像力を大いに刺激するものです。悠久の時をへてよみがえる驚異の世界を、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。 港 千尋 本展監修|アートとデザインの人類学研究所 所長 ■ 公開シンポジウム「芸術とイメージの根源へ――サハラに眠る美を追いかけて」 日程2024年9月27日(金)14:00~16:00(開場 13:30)場所多摩美術大学八王子キャンパス 図書館アーケードギャラリー東京都八王子市鑓水2-1723登壇英 隆行(写真家)、山田 英春(ブックデザイナー、写真家)、港 千尋(IAAD所長、情報デザイン学科教授、写真家)対象全学科・学年、学外一般(学外の方は要事前申込)主催アートとデザインの人類学研究所共催情報デザイン学科 ■ 登壇者プロフィール英 隆行|HANAFUSA Takayuki 1952年岐阜県生まれ。上智大学文学部仏文科卒業。SPEOS Paris Photographic Institute で報道写真部門 卒業(2013年)、 サハラ砂漠の自然・先史岩壁画を主なテーマとして写真撮影を行なっている。「イへーレン岩壁画――5000年の時を超え、緑のサハラが甦える」(東京、京都 2014年)、「サハラに眠る先史岩壁画」(東京、京都 2019年、2022年)などの写真展を多数開催。 山田英春|YAMADA Hideharu 1962年東京生まれ。ブックデザイナー。国際基督教大学教養学部卒業後、出版社勤務、デザイン事務所勤務を経て、書籍の装幀をするブックデザイナーとして独立。本業のかたわら、世界各地の古代遺跡や先史時代の壁画の写真を撮り歩く。メノウやジャスパーなど、模様の美しい石のコレクションを続けていることでも知られる。著書に『巨石──イギリス・アイルランドの古代を歩く』(早川書房)、『不思議で美しい石の図鑑』(創元社)、『奇妙で美しい石の世界』(ちくま新書)、『石の卵』(福音館書店)などがある。 港 千尋|MINATO Chihiro 写真家。多摩美術大学教授、アートとデザインの人類学研究所所長。芸術の発生、記憶の予兆などをテーマに制作と研究を続けている。著書に『記憶――創造と想起の力』『インフラグラム――映像文明の新世紀』『風景論――変貌する地球と日本の記憶』など多数。「第2回浪漫台三線藝術季」(台湾)国際キューレーター。