イベント

移動美術館アート・トラック vol.7 山本麻世「だいだらぼっちの遊び場」

2025年6月25日
#展覧会 #イベント

出品者山本麻世(2005年修士課程修了)会 期2025年5月10日〜2026年3月31日場 所全国巡回中ホームページアート・トラックはこちら協賛一般社団法人多摩美術大学校友会 山本麻世は、巨大な筒状の立体作品を代表作とし、それらを空間に寄生させるように展開するアーティストです。本展のメインとなる壁面展示では、工事現場の仕切りに使われる標識テープで編まれた立体作品が大胆にうねっています。トラックのもう一面は、それが制作される際に使われた手編みの手法「リリアン編み」を実演してみせる場となっています[1]。 メインの赤い筒状の作品は《へその緒》と題されており、展示タイトルが「だいだらぼっちの遊び場」であることから、「だいだらぼっち」のへその緒がモチーフであるとわかります。「だいだらぼっち」は、日本の各地に伝承される巨人の名です。山本はこれまでも伝承や信仰の存在をアイデアの源泉にしており、本展以前の作品でも、地蔵や、仏教における「奪衣婆」、チベットに伝承される「イエティ」など、様々なモチーフを引用してきました。 本展では、だいだらぼっちのへその緒が壁面をうねり、テーブルや椅子に絡みついています。食器やカトラリーも散らされていますが、それらがへその緒の大きさと対比されることで、だいだらぼっちの圧倒的なスケールがあらわになっています。巨人であるだいだらぼっちからすれば、これらはおままごとセットであり、このアート・トラック自体もミニカーのようなおもちゃなのです。そういった意味で、ここがだいだらぼっちの「遊び場」に喩えられています。へその緒が遊び場でおもちゃに絡みつく、というユニークな場面は、そこにどんな物語があるのか、想像を誘います。 また、この《へその緒》にまつわる展示に加え、トラックの助手席から顔を出す立体作品も目を引きます。この作品は、山本によれば、山本自身のオルター・エゴ(alter ego)=分身なのだといいます。人体を口と肛門でつながる一本の筒と捉え、本作を自身の分身とし、トラックの移動に帯同させているのです。 興味深いことに、よく観察すると、本作がだいだらぼっちのへその緒とよく似た形体をしていることに気づきます。素材をゴムチューブに替え、同じ手法(リリアン編み)によって制作された、同じ形体の作品なのです。巨人のへその緒も、自身の分身も、同じ形体で表現され並置されている、という不思議な状況がつくり出されていることになります。つまり、山本の作品は「形」という目に見える要素だけで成り立っているわけではないのです。これらが並んでいることで、私たちは、山本の作品の表現性が「形」の外にある「物語」を根幹にしていると窺い知ることができると言ってもいいでしょう。そして、それら物語的な想像力こそが、山本が引用する伝承や信仰の力の真髄でもあります。 山本はモチーフの引用としてのみならず、作品を成立させる構造としても、伝承や信仰の要件をなぞってみせ、これにより、まさにここで新たな物語を産もうとしているのかもしれません。作品がどんな物語を語りかけてくるか、耳を澄ませてお楽しみください。 [1]リリアン編みの実演は開催時の都合により実施しない場合があります。 文・上久保直紀 【ワークショップ】 リリアンでアートにつながろうリリアン編みワークショップ山本が作品制作に使う手編みの手法「リリアン編み」を体験するワークショップです。毛糸などを編んで遊ぶことが一般的なリリアン編みですが、山本は作品において、テープやゴムチューブといった素材を使っています。細長いものであれば編むことができるため、ワークショップでは、山本が選んだ様々なリボンから好きなものを選び、編んでいきます。出来上がったものは、実際に展示されている山本の作品《へその緒》に繋げて、アートに参加することができます。展示に参加してもらうことで、自分がつくったものが大きなアート作品の一部になる驚きと、それを人に見てもらえる喜びを感じていただけます。各地でつくられた作品が一つに繋がり、作品は大きく延び、発展していきます。 詳細はこちらのHPよりご確認ください。

菊地武彦「アナムネーシス anamnesis -想起する景-」

2025年6月6日
#イベント

出品者菊地武彦(1984年修士課程修了)日程2025年7月19日(土)~2025年10月13日(祝・月)時間10:00~18:00(入館は17時30分まで)休館日月曜日(7月21日、8月11日、9月15日、10月13日は開館)7月22日(火)、8月12日(火)、9月16日(火)、9月24日(水)入館料一般:1000(800)円、高校・大学生:700(560)円、中学生以下無料※( )内は20名以上の団体料。※各種障がい者手帳をご呈示の方とその介護者1名は無料となります。※「あしかがいきいきパスポート」をお持ちの方および、両毛広域都市圏内にお住まいの65歳以上の方は無料となります(住所・年齢を証明できるものをご提示ください)。※第3日曜日(7月20日、8月17日、9月21日)は、中学生以下のお子さまを同伴のご家庭は無料となります。場所足利市立美術館栃木県足利市通2-14-7関連イベント講演・ワークショップ①《国語、数学、理科、社会・美術の中で考える》日時:7月27日(日)10:30~12:00講師:菊地武彦会場:足利市立美術館多目的ホール定員:40名※小学5年生以上〜一般の方がご参加いただけます②《トークセッション リアリティをめぐるいくつかの試み》日時:8月24日(日)14:00~15:30講師:菊地武彦 × 水野暁(画家)× 川島健二(民俗学研究)会場:足利市立美術館多目的ホール定員:40名③《絵の具ってなに?ー古代の色材からー》日時:9月20日(土)10:30~12:00講師:菊地武彦会場:足利市立美術館多目的ホール定員:15名①②③※事前に電話(0284-43-3131)へお申込みください。定員になり次第締め切らせていただきます。※参加費は無料です。ご参加の方が展覧会をご覧いただく際には当日有効の観覧券が必要です(高校生以上)。トーク(各日14:00~15:00)④《菊地武彦オープニングトーク》日時:7月19日(土)⑤《学芸員によるギャラリートーク》日時:8月2日(土)、9月6日(土)あ⑥《学芸員による鑑賞ワークショップ》日時:9月21日(日)④⑤⑥※参加費、お申込みが不要です。開始時刻に美術館受付前にお集まりください。※高校生以上は当日観覧券が必要です。主催足利市立美術館助成公益財団法人朝日新聞文化財団公益財団法人三菱UFJ信託地域文化財団協賛一般社団法人多摩美術大学校友会協力一般財団法人おもい・つむぎ財団

【受付終了】多摩美校友会ホームカミング展2025|申込期限(8/17まで)

2025年6月5日
#公募 #校友会 #展覧会 #イベント

多摩美術大学創立90周年と一般社団法人多摩美術大学校友会創立30周年の記念事業として、正会員・準会員(在学生)・賛助会員が出品できる展覧会を開催します。優れた作品には賞(総額60万円)を授与します。 出品申込期限2025年8月17日(日)※お申し込みには作品サイズと作品画像の提出が必要です。(作品画像が間に合わない場合は、後日事務局までご提出ください) 申込フォーム 募集要項PDF 作品募集要項 出品資格下記のいずれかに該当している方が出品できます。● 多摩美術大学校友会正会員・準会員(在学生)・賛助会員正会員は多摩帝国美術学校、多摩造形芸術専門学校、多摩美術短期大学、多摩美術大学、多摩美術大学大学院、多摩芸術学園のいずれかを卒業、修了、一時在籍し終身会費を納めた方です。準会員は在学生です。大学院に在学中の方も出品資格をお持ちです。※応募前に校友会マイページへのログインをお願いします(新入生は除く)。 ログイン情報が不明な方はメールでお問合せください。※2001年度卒業生(2002年3月卒業)より終身会費は入学時に予納いただいております。 大学院に在学中の方も参加資格をお持ちです。※終身会費の納入はこちらをご参照ください。終身会費について終身会費の納入状況(出品資格)が不明な方は、必ず出品料のお振込み前に下記1,2のいずれかの方法でご確認ください。 1 各種お手続きフォームよりお問い合わせいただく 2 校友会事務局(info@alumni.tama-art-univ.or.jp)へお問い合わせいただく →「氏名、会員番号、卒業年、卒業学科専攻」をわかる範囲でお知らせください 募集作品・規定下記のA,Bからいずれかひとつを選んでお申し込みください。 A 平面小作品サイズ46cm×46cm 以内(額を含めたサイズ)点数1点規定● 壁掛け展示が可能な作品● 額装する場合、額の表面はアクリル素材に限ります。● 作品裏面に展示用の金具・ヒモ等をつけてください。● 作品裏面に天地がわかるよう記入してください。● 作品裏面・箱(梱包材)には作家名を記入してください。 B 立体小作品サイズ30cm×30cm×30cm 以内点数1点規定● 自立可能な作品● 天地・左右・正面等がわかるような展示指示書(形式自由) を添付してください。● 作品裏面・箱(梱包材)には作家名を記入してください。 出品料無料 ※但し、搬入・搬出に業者を利用し、展示を運営に委託する方は自費(送料+展示代行料2,000円)となります。 搬入・搬出搬入下記1,2のいずれかを選択してください。1 直接搬入10月6日(月)11:00〜16:002 業者搬入(元払い)10月6日(月)12:00〜16:00搬出下記1,2のいずれかを選択してください。1 直接搬出10月25日(土)11:00〜16:002 業者搬出(着払い)10月24日(金)・25日(土)発送場所〒192-0394東京都八王子市鑓水2-1723多摩美術大学八王子キャンパスアートテークギャラリー2階(201・202)担当:深津裕子注意事項作品の搬入・搬出にかかる費用は出品者負担となります。 申込方法(フォームのみ)出品申込期限:2025年8月17日(日)※お申し込みには作品サイズと作品画像の提出が必要です。(作品画像が間に合わない場合は、後日事務局までご提出ください)※ご自身のメールアドレスに届く【回答のコピー】が【申込完了】の証明となります。 大切にお控えください。▼下記の申込フォームよりお申し込みください。 申込フォーム 賞               10月18日(土)のガーデン同窓会内で表彰します。※受賞者は10月16日(木)までに校友会ホームページ・SNS で発表します。「理事長賞」・・・1名(10万円)「学長賞」・・・1名(10万円)「校友会賞」・・・1名(10万円)「30周年記念賞」・・・10名(3万円) 注意事項● 実行委員会で作品の展示をします。● 出品作品と額装の状態に起因する破損、また、輸送中の破損について責任を負いかねます。● 出品作品は受付後、十分注意をして取り扱いますが、不可抗力による損傷については、主催者および運営は一才責任を負いません。必要に応じ、ご自身で保険をおかけください。● 公序良俗に反する、またはそのおそれのある表現を含む場合、出品をお断りする場合があります。● 未乾燥、未完成の作品は受け付けられません。 展覧会開催概要日程2025年10月8日(水)〜2025年10月23日(木)時間10:00〜17:00(10月18日のイベント開催時は18:00まで)休廊日日曜日会場東京都八王子市鑓水2-1723 多摩美術大学八王子キャンパスアートテークギャラリー(201・202ギャラリー)アクセスJR横浜線・京王相模原線橋本駅北口から神奈川中央交通バス「多摩美術大学行」で約8分。または、 JR八王子駅南口から京王バスで約20分。運営多摩美校友会ホームカミング展2025実行委員会主催一般社団法人多摩美術大学校友会 イベント◆ ガーデン同窓会日時10月18日(土)※会の中で授賞式を行います。◆ 多摩美校友会ホームカミング展2025アーティスト・トーク日時10月18日(土)17:00〜 会員の展覧会⇒ 過去の開催状況はこちら

太田浩史「高森の駅とまち〜熊本地震からの創造的復興」

2025年5月20日
#イベント #公開研究会

多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所 第5回 公開研究会 多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所では、建築家の太田浩史氏を講師にお迎えして第5回公開研究会を開催いたします。 太田氏は、地域の地形や暮らしの背景を丁寧に読み解きながら、風景と人々の生活をつなぐ建築を数多く手がけてきました。今回は、2016年に発生した熊本地震からの創造的復興の一環として整備された南阿蘇鉄道高森駅を中心に、その設計のプロセスや空間づくりについてお話しいただきます。 阿蘇山・阿蘇カルデラという壮大な地形に向き合い、改札のないプラットフォームや西に開かれた駅舎など、鉄道の再開そのものを風景として感じられる構成には、交通と建築の関わりを見つめ直す視点が込められています。後半では、金沢百枝所員をモデレーターに参加者とのディスカッションも行ないます。 災害を経験した土地で、建築はどのように記憶をたどり、未来へ向かう風景を描けるのか。場所の語りに耳を澄ませながら、共に考える機会としたいと思います。 日程2025年5月15日(木)時間16:45〜参加費無料※事前申込不要。※満席の際は入場をお断りする場合があります。会場多摩美術大学八王子キャンパスアートとデザインの人類学研究所(メディアセンター4F)定員40名WEB多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所登壇者太田浩史(建築家/neuob代表)講師プロフィール太田浩史  OTA Hiroshi1968年東京都生まれ。建築家。博士(工学)/技術士(都市及び地方計画)。1991年東京大学工学部建築学科卒業。1993年東京大学大学院研究科建築学専攻修士課程修了。東京大学生産技術研究所助手を経て、2000年デザインヌーブ一級建築士事務所共同設立。2003〜08年、東京大学国際都市再生センター特任研究員 、2009〜2015年 東京大学生産技術研究所講師。2015年より株式会社ヌーブ代表取締役。主な作品に「南阿蘇鉄道高森駅」「矢吹町第一区自治会館」「PopulouSCAPE」など。主な著書に『世界のSSD100』(彰国社,2007年)、『コンパクト建築設計資料集成[都市再生]』(丸善、2014年)。2002年より東京ピクニッククラブ共同主宰。

創造の海辺で語る アート × デザイン × ライフ

2025年5月14日
#イベント #公開研究会

江ノ島アートフェスティバルシンポジウム  湘南の輝く海は古来より歌に詠まれ、それぞれの時代の感性を育んできました。20世紀には洋画家の鳥海青児や写真家の濱谷浩をはじめ、多くの芸術家がすぐれた作品を生み出し、今日では江の島やビーチ、江ノ電の路線沿いの魅力的な風景が国境を超えて多くの人を惹きつけています。本シンポジウムは、江の島アートフェスティバルの参加企画のひとつとして、湘南を生活と制作の場として活躍する気鋭のアーティストを招き、生活と風景そして作品をめぐり、この土地の魅力も含めて語り合いたいと思います。どなたでもご参加・聴講いただけるイベントです。 日程2025年5月16日(金)時間19:00〜20:30 (開場 18:30)参加費無料※事前申込不要。当日は受付にてご記帳をお願いします。※会場に到着した方から順番に着席、座席自由。会場藤沢市民会館・小ホール神奈川県藤沢市鵠沼東8-1定員350名お問合わせ多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所〒192-0394 東京都八王子市鑓水 2-1723 メディアセンター4FEmail:iaa_info@tamabi.ac.jpWEB江の島アートフェスティバル シンポジウム「創造の海辺で語るアート×デザイン×ライフ主催湘南藤沢活性化コンソーシアム/江の島国際芸術祭実行委員会共催多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所登壇者港千尋(写真家、多摩美術大学 教授/アートとデザインの人類学研究所 所長)石川直也(彫刻家、Gallery Gigi オーナー)播磨みどり(現代美術家)やんツー(美術家)同時期開催江ノ島アートフェスティバル会期:2025年4月12日(土)〜6月1日(日)会場:江の島島内、島外主催:湘南藤沢活性化コンソーシアム/江の島国際芸術祭実行委員会講師プロフィール港千尋1960年 藤沢市生まれ。東京都在住。写真家。多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所所長。イメージの発生と記憶などをテーマに広範な活動を続けている。国際展のキュレーションでは第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館のコミッショナー、あいちトリエンナーレ2016芸術監督、台湾最大の芸術祭「ロマンチック台三線芸術祭」2023では国際キュレーターを務めた。『風景論ーー変貌する地球と日本の記憶』(中央公論新社、2018年)で2019年度日本写真協会賞受賞。著書多数。『写真論』(中央公論新社、2022年)、『Across The Waters』(ABI+ P3パブリッシング、2022年)。 新刊に『ヒルマ・アフ・クリント 色彩のスピリチュアリティ』(インスクリプト、2025年)。石川直也1987年 東京都生まれ。神奈川県在住。彫刻家、Gallery Gigi オーナー。「彫刻とは何か」という問いに対して、大理石という素材と向き合い、彫刻単体では立つことの出来ない人体彫刻「自立しない人」やアーティストとのコラボレーションによる探求を続ける。江の島アートフェスティバル2025ではキュレーションを担当。2023年神奈川文化賞未来賞受賞。近年の主な展覧会に個展「自立しない人‒繋がりと作法‒」(LOKO GALLERY、東京、2024年)、個展「自立しない人-この世界のどこか-」(KATSUYA SUSUKI GALLERY、東京、2025年)など。播磨みどり1976年 横浜市生まれ。神奈川県在住。美術家。印刷メディアとそれにまつわる経験をベースに制作を行う。様々なメディア上に溢れるイメージの白黒コピーで作られた紙の立体やインスタレーションに加え、近年は、版画のプロセスやシステム、その相対的な在り方を使った身体の移動や移行による視点やアイデンティティの複数性について考察しながら、作品と作者の非中心的、非絶対的な在り方の可能性について模索している。近年の主な展覧会に、「場と印刷 Prints/Places」(Maho Kubota Gallery、東京、2023年)、「This is a Mirror」(Shirley Fiterman Art Center、ニューヨーク、2023年)、「裏側からの越境 」(藤沢市アートスペース、藤沢、2022年)など。やんツー1984年 茅ヶ崎市生まれ。神奈川県在住。美術家。今日的なテクノロジーが導入された動きを伴う装置、あるいは既存の情報システム、廃品などを誤用/転用/ハッキングし組み合わせ、平面や立体、インスタレーション、パフォーマンスといった形式で作品を発表している。TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト寺瀬由紀賞。ACCニューヨーク・フェローシップ(2023年)にて6ヶ月渡米。近年の主な展覧会に、「MOTアニュアル2023」(東京都現代美術館、東京、2023年)、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、東京、2022年)など。