「人」

2023年4月20日
#展覧会

出品者NI LI(2022年 大学院博士修了)、もりさこりさ(在学生)、ほか日程2023年5月13日(土)~2023年5月28日(日)休館日月、火曜日時間13:00~19:00場所長亭GALLERY東京都中央区日本橋久松町4-12コスギビル4FWEB長亭GALLERY協力WAITINGROOM 人物は、人間にとってもっとも関心のあるモチーフであり、永遠のテーマであるといってよい。他人を知る、あるいは自分自身を知るために人物を描く。確かに、人の外側だけ見ても、内面を理解することはできないが、その現れから推測することはできる。 西洋において肖像画は、古代ギリシャ・ローマ時代から描かれているが、当初は理想主義的で象徴的なものであった。しかし、紀元前4世紀末以降、ヘレニズム時代には、現代の肖像写真のように、それぞれの個性的を表現する写実主義的な画風に変貌する。4世紀末にキリスト教が国教になって以降、個人の肖像画は廃れ、キリスト教美術が発展することになる。 ふたたび、肖像画が着目されるのは14世紀になってからのことである。王侯や聖職者が古代の伝統に即して、側面像で描かれるようになる。15世紀になると、特にヤン・ファン・エイクを代表とする初期ネーデルラント派で、少し斜めを向いた四分の三正面象が確立されていく。我々がイメージする肖像画は、そこに由来する。その高度な写実性は、カメラの発明につながる、凸面鏡などを使用していることを、デイヴィッド・ホックニーは指摘している。 当初は画像を自動で定着することはできず、手で描かれていたが、19世紀にカメラが発明され、肖像画や人物画の主役は、絵画から写真に手渡されたのだ。それ以降、絵画は写実性を捨て異なる表現を歩んでいく。日本やアフリカといった異文化の影響に加え、列車や車、船、飛行機による高速移動も知覚や表現に変化を与えていく。さらに写真印刷や映画、テレビの発明によって、メディアが現実を包み込み、写真や映像そのものを描くようなスーパーリアリズムやゲルハルト・リヒターのような試みも出てくる。 今日のデジタル環境において肖像画や人物画の主役はSNSにある。多くの人々が「自撮り」をし、セルフポートレートを毎日のように投稿している。しかし、それはフィルム時代の写真のように、無加工であることはほとんどない。スマートフォンやアプリによって、何らかの加工やエフェクトが施されており、見栄えがよくなっている。「真実」に近い「嘘」が、山のように積み上がり、「真実」は覆い隠されているといってよい。あるいは、AI(人工知能)が生成した「真実」のような「嘘」もある。その見分けはつかない。 今回、出品している画家は、それぞれの方法でふたたび人物に脚光を当てている。佐藤絵莉香は、移動の途中で見た光景に人の面影を重ね合わせて描き、豊田涼華は、 SNS上の画像や動画を含めた「日常」のなかで偶然目撃した状況を絵画にする。倪力は、ネットに散在する画像と、自身の身体や絵筆の質感を合わせて同一平面上に定着させる。あるいは、古川諒子のように、言葉から連想した像を定着するものもいる。そこには、現実の像との対応はない。もりさこりさは、粗いタッチで異なる世界の住人を描くが、それは虚構に満ちた現実の鏡像でもあるだろう。 画家たち描く像は、画家の目や脳、知性、感情、経験、身体、技法が積み重なったものであるが、それ自体が時代を映す鏡でもある。デジタル・ネットワークにより複雑に絡み合った人間の関係性を定着するのは、もはやデジタルでは困難かもしれない。今の時代に、人物を描くということは、その複雑で嘘に覆われた世界から、それぞれが自身の真実や現実の手触りに到達するための試みでもあるだろう。

三宅 一樹 展 「拝啓、碌山殿。」

2023年4月12日
#展覧会

出品者三宅一樹(1996年 彫刻学科卒・1998年 院彫刻専攻修了・2009年 院博士課程修了)日程2023年4月19日(水)~2023年5月28日(日)休館日毎週火曜日時間10:30~18:00(17:40 最終入館)場所中村屋サロン美術館〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目26番13号 新宿中村屋ビル3階入館料300円 〈同時期開催〉「顕神の夢」展 日程2023年4月29日(土・祝)~6月25日(日))会場川崎市岡本太郎美術館(小田急線向ケ丘遊園駅より徒歩17分)関連イベント6月3日(土)ギャラリートーク&ワークショップ(担当講師:三宅一樹)作品神像彫刻シリーズより《スサノオ》《那智の多氣》、御神木デッサンを出品致します。その後、足利市立美術館(7/2-8/17)、久留米市美術館(8/26-10/15)、久万美術館(10/21-12/24)、碧南市藤井達吉現代美術館(2024/1/15-2/25)へ巡回いたします。 〈掲載誌 information〉 『月刊美術』5月号(「祈り」のかたち インタビュー)『目の眼』5月号(「古美術と現代アート」 インタビュー)『月刊ギャラリー』4月号(中村屋サロン美術館個展 インタビュー)『美術の窓』3月号(中村屋サロン アーティストリレー展 プレビュー)『アートコレクターズ』3月号(中村屋サロン アーティストリレー展 プレビュー)

アジアのTAMABI

2023年4月11日
#展覧会

出品者LEE JIHYUN(2020年 美術学部卒)WANG HONGYUE(在学生)WEN JIAQI(2023年 美術学部卒)HE KUANG(在学生)JI ZUOHUA(大学院在学生)KIM SOOYEON(在学生)HUANG MINGDA(2023年 美術学部卒)SIM HYUNJI(在学生)ZHOU QINGYI(2023年 大学院修了)ZHOU WENCHAO(大学院在学生)XU YIYING(2023年 大学院修了)JIANG MENGDIE(2023年在学生)TSENG CHIHAO(2021年 大学院修了)HEN POHSHIN(2023年大学院修了)CHINN HOURINN(大学院在学生)TONG HAOLIN(’21 美術学部卒)MA QIANRUO(在学生)MOON WOONGJIN(2023年 美術学部卒)YANG TIANYU(大学院在学生)LI CANCHEN (2023年大学院修了)LU PING(大学院在学生)日程2023年 4月18日(火)~ 2023年4月30日(日)休廊日月曜日時間10:00~19:00(最終日は17:00まで)場所FEI ART MUSEUM YOKOHAMA神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町3-33-2 横浜鶴屋町ビル1FTEL 045-411-5031MAIL artmuseum@fukasaku.jp共催多摩美術大学校友会 神奈川支部/FEI ART MUSEUM YOKOHAMA後援多摩美術大学校友会/駐日韓国大使館 韓国文化院協賛多摩美術大学校友会 韓国支部/多摩美術大学校友会 台湾支部   このたびFEI ART MUSEUM YOKOHAMAでは、多摩美術大学で学ぶアジアからの留学生の作品を紹介する「アジアのTAMABI」を開催致します。 日本の大学には、アジアをはじめとする留学生が在籍しています。多摩美術大学でも、自己の表現を追求するため、素材や技法を学ぶため、多くの留学生が在学しています。 しかしこの3年間、新型コロナの影響で留学が決まっていても入国できない、または泣く泣く留学を断念した学生もいたでしょう。入国制限緩和以降は留学生が戻りつつあることを実感していますが、それでも 3年間のブランクやオンライン講義など、多摩美術大学で本来学ぶことができたであろう充分な時間を持つことができなかったのではないでしょうか。そして同時に、作品発表の機会も失われたと思います。そこで多摩美術大学在学・出身のアジアの留学生に作品発表の機会を提供することとなりました。 会場では新4年生~大学院2年生・卒業修了してから2年以内の留学生を対象に、応募を募り22名の作品を紹介致します。留学生たちのアートへ向ける熱意を感じ取っていただければ幸いです。  

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